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クジラやイルカはどうやって音でハンティングできるようになったか

ギズモード・ジャパン 9月7日(水)20時10分配信

こちらはエコーハンターという意味を持つ、古代の海の生きもの「Echovenator sandersi(エコーヴェナトル・サンデルシ)」を描いたイメージ。およそ2700万年前に生息していたとされるハクジラ類に分類される生きものです。

このエコーヴェナトル・サンデルシを手がかりに、どうやってクジラやイルカが海の世界で高周波や超音波をハンティングへ応用する能力へと進化させてきたのか、その過程を示す研究がニューヨーク工科大学とフランスにある国立自然史博物館の研究者たちによって先日発表されました。

2001年にサウスカロライナで発見された2700万年前の頭蓋骨を分析した結果、エコーヴェナトル・サンデルシは古代のイルカの親戚で、人間の可聴域を超える高周波を感知できたことが明らかになりました。内耳膜を支える骨の構造から、超音波を感知できる能力が示されたのだとか。

すでに化石化した耳をCTスキャナーで調べた研究者たちは、2種のカバ科、23種のクジラ目の耳との比較調査を行ないました。そうして発見されたのは、超音波が聞こえるという現代のイルカにも見られる特徴。

エコーヴェナトル・サンデルシは、まず顎に伝わる振動を感知することで、内耳に届く高周波のエコーを感知できたのだとか。事実、こうした聴覚器官が非常にはっきりとしていたことから、研究者たちは超音波を感知する能力が2700万年よりも以前から存在していたと考えているようです。

ハンティングに使うテクニックとして、「エコーロケーション」というものがあります。これはクジラやイルカ、コウモリなどが、高周波を発して反響を聴き取ることで獲物の正確な位置を把握する能力です。「我々の研究は、高周波の聴力がエコーロケーションの先駆的なものであることを示唆するかもしれない」と述べるのは、NYITのMorgan Churchillさん。

研究の共同著者であるJonathan Geislerさんは「小型のハクジラ類の聴力が卓越したものだったのはおそらく、音を頼りに魚を探すためではないかと考えられます」と、コメント。夜の闇のなかや深い海底付近といった環境でも狩りをするのに、都合が良かったのですね。

今回のエコーヴェナトル・サンデルシに関する論文は、学術誌カレントバイオロジーに掲載されています。研究者たちは今後、頭蓋骨をより詳しく調べることで、内耳の特徴が特定の周波数を聞き取るためのものだったかどうか、明らかにしていく意向を示しています。

image by A. Gennari, 2016

souce: Current Biology

George Dvorsky - Gizmodo US[原文]

最終更新:9月7日(水)20時10分

ギズモード・ジャパン