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選手と伴走者の絆を武器に、 “チーム”で戦う、視覚障がい者マラソン

カンパラプレス 9月7日(水)18時1分配信

 リオデジャネイロ・パラリンピックから新たに採用される、視覚障がい者女子マラソン。誰が勝っても「初代女王」の称号を手にするレースに、日本から3選手が出場する――いや、「3選手と6人のパートナーが」と言うべきだろう。

 視覚に障がいがあり、一人で走るのが難しい選手は、目の代わりをするパートナー、「伴走者(ガイドランナー)」が不可欠だ。伴走者のいちばんの役割は選手を安全にゴールまで導くことだが、二人三脚でともにゴールを目指すのだから、伴走者も“出場選手”といえよう。多くの選手も、「マラソンは個人競技だが、伴走者と走るマラソンはチーム戦」であり、伴走者は「チームメイト」であり、「同士」だと話す。

 実際、伴走者も競技者として「IPC(国際パラリンピック委員会)登録」が必要で、競技規則にも従わねばならず、違反すれば、選手ともども失格となりうる。またドーピング検査の対象でもあり、日ごろから摂取する薬品やサプリメントには細心の注意が必要だ。一方で、選手がメダルを獲得すれば、伴走者は選手とともに表彰台に上がり、一定の要件を満たした場合(*)にはメダルが授与されるというように、その貢献度は評価されている。

 とはいえ、やはり、責任もプレッシャーも大きな役目である。伴走ペアには、伴走ロープの使用が義務付けられており、基本的には伴走者が選手のフォームやピッチに合わせる。その上で、進行方向や路面状況、ラップタイムなどを口頭で伝えながら、安全で適切なコース取りや他選手との距離を測り、選手が駆け引きを行うための情報も与えることなども期待されている。

 一般に担当する選手よりも伴走者のほうが持ちタイムがよく実力差があるとはいえ、42kmは誰にとっても楽な距離ではない。選手同様に日々のトレーニングが必要だし、レースに向けた体調管理も欠かせない。選手を不安にさせない「走力」は伴走者にとって絶対条件だ。

 また、選手とはレースだけでなく、日々の練習から長い時間をともに過ごすため、選手と分かり合うためのコミュニ―ケーション力も必要だ。パラリンピック出場ともなれば、数週間に及ぶ「合宿」のようなものであり、走るだけでなく、日常生活のサポートも伴走者の役目になる。慣れない遠征先で二人分の気配りが必要となる。

 さらに、数週間の遠征をこなすには、家庭や職場の理解も不可欠だ。それには日頃から周囲の信頼感を得て、応援してもらえる状況を自らつくっておかねばならない。そういった意味で、伴走者には豊かな「人間力」も求められるのだ。

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最終更新:9月7日(水)18時1分

カンパラプレス