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「一見奇異な行動が、実はSOS」子どもに居場所、見守り10年 不登校の生徒を支援

西日本新聞 9月7日(水)12時21分配信

NPO法人理事長・百田英子さんに聞く

 -家庭や学校になじめない子どもの居場所づくりを目的に、不登校の生徒の支援教室などを運営するNPO法人を設立し、10周年を迎えた。具体的にどのような活動をしてきたのか。

 「中学生から18歳までの子どもたちが来たいときに来て、スタッフが見守る部屋が『リリーフ』。本や卓球台や調理室があって、どう過ごすかは自由。こちらからお菓子作りなどを企画することもある。不登校支援教室『ぐんぐん』では、学校で学べない子どもたちに、各教科をマンツーマンで指導する。いずれも志免町から受託した事業で、町が所有する施設で15人のスタッフが活動している」

 -10年間の歩みの中で、百田さんが関わってきた子どもは延べ1万人を超えた。居場所を失った子どもは、どんな境遇なのか。

 「温かい家庭に恵まれない子どもたちだ。虐待は典型的なケースだが、子どもをほったらかしにしたまま、いつ帰宅するか分からず、食事を用意するなどの生活習慣や経済力のない親もいる。こんな家庭の子どもたちが街をさまよえば、事件に巻き込まれたり、学業放棄や家出につながったりする。親に期待できない以上、地域の大人が気に掛けて見守る必要がある」

 -地域の大人といっても、ほとんどが専門的な知識もなく、どう関わればいいか分からない。

 「子どもは、いろんな形で大人にメッセージを発する。言葉遣いや服装、髪形が乱れるなど、大人にとっては一見奇異な行動が、実はSOSということもある。そこで『こら、だめじゃないか』と早まると子どもは反発し逆効果。だから、そんな子どもを見掛けたら、一人で抱え込まず、地域の仲間と相談し合って対応を考えたほうがいい。志免町では、その役目を私たちNPOが担っている。スタッフは常に、子どもたちのつぶやきにアンテナを張っている」

 -不登校には、ただ怠けているだけという社会の無理解がつきまとう。学習サポートは、どんなことに留意しているのか。

 「不登校の理由は、発達障害など子どもによってさまざま。だから、子どもが安心して自分らしく学ぶことを優先している。コミュニケーションが苦手、あるいは何かにこだわって折り合えない子どもなどは、それも個性だと考えた上で、一緒に解決する方法を模索する」

 -百田さんたちの活動の背景にある理念は、志免町が2007年、九州の自治体で初めて施行した子どもの権利条例だ。

 「制定までの3年間、私も町の審議委員として関わった。暴力や差別を受けず、他者との違いを認め、必要な支援を受ける権利を明記している。制定当時は『子どもを甘やかす』と批判する人もいたが、今では全国から視察が絶えない。だが最近、意外に地元の人に根付いていないと感じる。条例の内容をカルタにして、大人から子どもまで親しめるようにしようと計画中だ」

百田英子さん(ももた・えいこ)

 1953年、福岡市生まれ。福岡県志免町で息子2人を育てながらPTA役員や町主任児童委員などを務め、子どもとの関わりを深める。2006年、NPO法人「スペースde(デ)GUN2(グングン)」を設立。現在、県人権・同和問題研修講師として、子どもの権利についての講演活動に取り組む。

西日本新聞社

最終更新:9月7日(水)12時21分

西日本新聞

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