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全村避難続く福島県飯舘、牛の飼育再開 「畜産の村」復興へ一歩

福島民友新聞 9月7日(水)12時17分配信

 東京電力福島第1原発事故で全村避難が続く飯舘村で6日、約5年2カ月ぶりに牛の飼育が再開された。県の営農再開事業の一環として半年間、肉牛繁殖用の母牛を畜舎内で実証飼育する。尿や血液を検査し、放射能汚染がないかなど影響の有無を確かめる。

 村内で飼育を再開した山田長清(ちょうせい)さん(65)は「原発事故前の状態に戻るだけかもしれないが、飼育する目的や目標がはっきりした。自分が練った計画通りに繁殖できる」と喜んだ。放牧せずに、村外から餌を買い入れて飼育する。

 山田さんは2011(平成23)年6月に、飼育していた15頭のうち11頭を売却した。残り4頭を県農業総合センター畜産研究所(猪苗代町)に避難させる経験もしただけに、感慨深げだ。

 この日は県家畜市場(本宮市)で競り落とした生後10カ月の母牛2頭を牛舎に運び入れた。

 10月までに同研究所に預けている牛なども加えた15頭も運搬し、本格再開する予定だ。

 山田さんは「来年3月末に避難指示が解除された後に自宅に戻る。それまで福島市の仮設住宅から通いながら飼育していきたい」と話す。早ければ来年6月にも繁殖した子牛を出荷するという。

 原発事故前の村は肉牛の繁殖や肥育、酪農などを含めて234軒の農家が約2800頭を飼育し、本県を代表する産地の一つだった。

 しかし原発事故で9割以上の農家が休業または廃業を強いられた。

 現在、村内での畜産業の再開を希望しているのは山田さんを含め、わずか6軒。「畜産の村」の復興には厳しい道のりが待っているが、村内での飼育再開は大きな一歩となりそうだ。

福島民友新聞

最終更新:9月7日(水)12時17分

福島民友新聞