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ECBがヨーダの名言に学ぶべき理由

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月7日(水)16時32分配信

 米人気SF映画シリーズ「スター・ウォーズ」の エピソード5「帝国の逆襲」では、良く知られているように、ジェダイ・マスターのヨーダが弟子のルーク・スカイウォーカーに「やってみる、ではない。やるか、やらないかだ」と語りかけた。アナリストが実施したある調査は、ECBがこの名言を肝に銘じるべきだと示唆している。

 米金融大手JPモルガン・チェースのアナリストらは、ECBが過去25回の政策理事会で行った発表に投資家がどう反応したか調査した。結論は、政策当局が刺激策を口にして実行しない場合は必ず金融市場が最も引き締まる、というものだ。

 政策当局は市場の混乱時に刺激策を示唆する傾向があり、これが大きな理由となっていると思われる。JPモルガンの統計によると、ECBは政策発表前の1カ月間で金融状況が引き締まっている場合、刺激策を実施する、あるいは追加緩和が近いと示唆する確率が高かった。それに対し、ECBが政策据え置きを決めた理事会の前、市場は落ち着いていることが多かった。

 JPモルガンの金利ストラテジスト、ファビオ・バッシ氏は「このことは、ECBは金融状況の引き締まりによる圧力を受けているときに反応する確率が高い、という考えを裏付けているようだ」と述べた。

 事実、緩和が示唆されたのに実施されなかった政策会合は、金融状況が一段と厳しい時期と重なる。つまり、実際の政策決定は景気動向に基づいているとみられる一方で、当局者らは市場が厳しい局面で刺激策への言及を増やす傾向があるということだ。

 ECBは8日の理事会で大きな動きに出るとは予想されていないが、歴史が参考になるならば、ユーロの為替レートが安定し、ユーロ圏の債券利回りが極めて低い中では追加刺激策を示唆することもなさそうだ。

 バンクオブアメリカ・メリルリンチは6日付の顧客向けリポートで、「マクロ経済指標は依然低調で、ハト派的だった7月の理事会後に市場の期待が高まる中、量的緩和を2017年3月以降も続けると約束することは市場で全く予想されていないとみている」と述べた。

 もちろん、ECBは量的緩和の制約となっている規則の一部を撤廃せざるを得ない可能性があり、さもなければ買い入れ対象の債券は枯渇する恐れがある。一部の投資家は規則撤廃をすでに織り込んでいるようだ。ただ、実務面でこれが必要でないとした場合でも、他の兆候から見てECBは今週、大きな動きを控えるものとみられる。

 中銀当局者はなぜ刺激策への過度な言及で投資家期待をあおらないよう注意すべきなのか。それは、日本銀行の例で説明できる。日銀の示唆が過剰であるために投資家は新たな政策発表に失望することが多く、市場の状況は毎回引き締まってしまう。

 ゴールドマン・サックスが最近行った調査でも、ECBが予想外に緩和策を発表すると、経済への好影響を巡りエコノミストの安心感を高めるどころか、見通しの下方修正を招くことが明らかとなった。実際の状況がいかに悪いかについて、政策当局は情報をより多く把握していると見なされるのだという。

 ヨーダが言うとおり、恐れはダークサイド(暗黒面)に通じるのだ。

By JON SINDREU

最終更新:9月8日(木)0時3分

ウォール・ストリート・ジャーナル

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