ここから本文です

社説[海空連絡メカニズム]日中は確実に構築せよ

沖縄タイムス 9/7(水) 7:20配信

 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席が中国・杭州で会談した。20カ国・地域(G20)首脳会合に合わせた1年5カ月ぶりの会談である。

 隣国でありながら、両首脳の会談がこれまでわずか3回にとどまっていることが日中関係の冷ややかな現実を物語っている。

 会談では日中の防衛当局間で「海空連絡メカニズム」の協議を加速することで合意した。尖閣諸島周辺の海域や空域で艦船や航空機の偶発的な衝突を避けるためにホットラインを開設することなどが柱である。

 尖閣諸島を巡る問題がこれで一気に解決に向かうとは思えないが、偶発的なアクシデントが武力衝突に至る危機を抱える中で、それを回避する仕組みをつくることは重要である。

 6月には中国海軍の艦船が初めて尖閣諸島の接続水域を航行した。2年前には中国機が自衛隊機へ異常接近し、一触即発の事態が起きている。

 8月には中国の公船や漁船が領海に入り、日本が抗議した後も、中国は挑発をやめなかった。尖閣諸島の緊迫感は高まったままである。

 日中は海空連絡メカニズムを構築することで2012年に大枠で合意していたが、日本による尖閣諸島の国有化や、中国の「南シナ海問題」などで協議が中断していた。

 今回もすんなり進むかどうか、先行きに不透明感は残るものの、関係改善に向けた双方の努力の姿勢と捉えたい。今度こそ確実に前に進めなければならない。

■ ■

 日中は来年、国交正常化45周年、再来年は平和友好条約締結40周年を迎える。

 関係がぎくしゃくしている今だからこそ国交正常化、平和友好条約を結んだ際の精神を思い起こしたい。

 1972年の田中角栄首相と周恩来首相による国交正常化の共同声明で、両政府は「すべての紛争を平和的手段により解決し、武力又(また)は武力による威嚇に訴えないことを確認する」とうたっている。

 紛争の平和的手段による解決は平和友好条約(78年)、日中共同宣言(98年)にも引き継がれている。日中不戦の原点に立ち返る必要がある。

 国交正常化40周年の2012年は尖閣諸島の国有化問題が起き記念式典が中止されるなど泥沼化の始まりだった。

 来る節目の年を関係改善して迎えるためにも両国首脳はもっと頻繁に首脳会談を重ねるべきである。互いの認識のギャップを埋め、信頼醸成を再構築することにつながるからである。

■ ■

 首脳会談では、「南シナ海問題」で溝が埋まることはなかったが、さまざまな分野、レベルで両国間の対話を進めていくことで一致した。

 東シナ海のガス田共同開発で14日に事務レベルの準備協議を始めることになったことは明るい材料だ。

 官民とも細くなってしまった交流のパイプを太くし、日中協力の実績を一つ一つ積み上げていく。その中で相互の不信と対立を取り除いていくことが、東シナ海を「平和、協力、友好の海」にすることにつながるはずである。

最終更新:9/7(水) 7:20

沖縄タイムス