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培った経験を手引書に 京都山科醍醐こどものひろば 【子どもの貧困・先進地に学ぶ(6)】

沖縄タイムス 9/7(水) 20:00配信

 京都市の中心、京都盆地から山を隔てた東隣の山科盆地。山科区と伏見区醍醐地区を合わせて約19万人が暮らす。そのうち約3万人が18歳以下の子だ。

 NPO法人山科醍醐こどものひろばは1980年代に発足し、演劇観賞などで活動してきた「親と子の劇場」が前身。2000年、NPOに移行後、地域のニーズに応じて子育て支援や子どもの貧困対策などに活動の幅を広げてきた。商店街と連携し、空き店舗を活用して子どもの夜の居場所「トワイライトステイ」をつくるなど、全国でも先駆的な活動で注目された。

 現在は地域で3DKのマンションや一戸建てを借り、少人数での「トワイライトステイ」を運営。毎年小中学生約20人を支援する。子ども1人が専有できる十分なスペースを確保。マンツーマンで付くサポーターが一緒に過ごし、夕食を食べるなどしながら日常生活や学習などの相談に乗る。

 理事長の村井琢哉さんは「地域に暮らす全ての子どもが豊かに育ってほしいというのが原点。その最低限の部分を保障しようとすると、どうしても生活支援が必要なケースが出てくる」と説明する。

 現在も演劇やキャンプなどの文化・体験活動に力を入れているが、「そこになかなか参加できない子がいる。特別な体験の前にまず必要な“生活”を届けている」という。地域の全ての子を対象にしたユニバーサルな活動と、特定の子のための支援を両立している。

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 村井さんは「とがった石がいっぱい転がっている道を舗装し、整備するのは行政の仕事。民間の活動は自宅の前の道で転んだ子の手当てくらいしかできないが、すみ分けが混乱しているケースもある。役割分担を明確にする必要がある」と指摘する。

 培ってきたノウハウを各地の取り組みに生かしてもらうため今年4月、支援者向けの手引書「支援者のアクションサポートブック~とらのまき~」を発刊した。活動がどこを目指すのか、人やお金をどう集めるかなど「実践への10の問い」を設定。コピーして使えるワークシートが付き、具体的な子どもや家族の状態などを書き込んだり、地域や社会の現状を確認したりできるよう工夫されている。

 困り事を抱えた子どもを見るための「10の視点」として、服装や目線、爪、対人距離、持ち物、遊び方などの注目点を例示。ほかにも行政や学校、地域とのつながり方など、これから子ども支援を始めようとする団体の参考になる情報が多く載せられている。

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 村井さんは「いつも事務所にふらっと来て、しゃべりたいだけしゃべって帰っていく子もいる。学校の先生や福祉窓口は人が変わっていくが、住民の活動はそこに居続けることができる。それぞれの子を長く見守り続けていくことが大事だ」と継続の重要性を語る。

 「続ければ続けるほど、課題の濃さが増していく。子どもの今のしんどさを考え、小さな解決を積み重ねていくことが大事。活動を守るためでなく、子どもを守るための活動だと常に確認することも重要だ」と強調する。(「子どもの貧困」取材班・田嶋正雄)=第5部おわり

沖縄タイムス 子どもの貧困取材班

最終更新:9/28(水) 12:55

沖縄タイムス