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オバマ氏、米国のラオス空爆に遺憾の意 「史上最大の爆撃」

BBC News 9月7日(水)16時44分配信

爆弾は「雨のように降った」とラオスの人は言う。現役米大統領として初めてラオスを訪問中のオバマ氏は6日、「この国との歴史を思えば、米国はラオスの回復を助ける道義的責任があると思う」と述べた。1960年代から70年代にかけてベトナム戦争中に米国がラオスをひそかに、かつ徹底的に空爆したことを念頭においての発言だ。

米国は今後3年間で、ラオス国内に大量に残るクラスター爆弾など不発弾の撤去に約9000万ドル(約90億円)をつぎ込む方針。過去20年の間に使われた不発弾撤去費用は、1億ドルだった。

爆弾はどれだけ投下されたのか

オバマ大統領は、史上最も空爆された国とラオスを呼んだ。1964年~1973年のベトナム戦争中、平均して1分に8発の爆弾が投下された。第2次世界大戦を通じて使用された爆弾の倍以上だ。

米軍爆撃機はラオス上空を58万344回飛行し、2億6000万発の爆弾を投下した。爆発物200万トンに相当する。南部と北部には、何度も何度も繰り返し爆撃された標的が多数ある。

投下された爆発物のほとんどが、対人クラスター爆弾だった。そのうち3割が不発だったと推定されている。

18あるラオスの地方行政区画のうち、10県が不発弾によって「深刻に汚染されている」と言われる。

不発弾処理機関によると、ベトナム戦争とラオス内戦が終結した時点で、ラオス国内には推定で約7500万の不発弾と2億8800発のクラスター弾が残された。

クラスタ爆弾はなぜそれほど唾棄されているのか

クラスター爆弾は大型容器に複数の子弾を搭載している。地上から発射され、あるいは空中から投下され、広範囲に爆発物を拡散する。子弾の多くは着弾時に爆発しないことが多く、そのまま地雷となって近づく人を無差別に殺傷する。

位置の特定と撤去が困難で、紛争が終わってからも長い間、民間人にとって大きな脅威となる。子弾は一見するとおもちゃのようにも見えるため、子供が近づいてしまうことが多い。

クラスター弾条約は、ほとんどすべての既存クラスター爆弾の備蓄、使用、移動を禁止しており、締約国は不発弾を除去しなくてはならないと定めている。

これまでに108カ国が条約を採択したが、米国は含まれていない。米国が1995年~2013年にかけてラオスの不発弾撤去にかけた費用は、戦争中の3日間の空爆費用に相当するという。

2020年8月に予定される次の条約締約国会議で、ラオスは不発弾除去の期間延長を求める見通しだ。

不発弾による犠牲者数は

「地雷クラスター爆弾モニター」推計によると、空中投下された爆発物(ほとんどがクラスター弾)でラオスで1964年以降に被害に遭った人数は約5万人。そのうち約2万9000人は死亡し、約2万1000人が負傷した。大多数は民間人だった。

近年の死傷者数はわずかな数にまで減少しているが、不発弾の危険があるため、農家は農地を利用できず、不発弾除去が終わるまで有効活用されない農地が多く残されている。

米国からの資金供与は問題解決につながるか

地雷撤去専門の非政府組織「ヘイロー・トラスト」や「マインズ・アドバイザリー・グループ」(MAG)、「ノルウェー市民援助」(NPA)、「UXO(不発弾)ラオス」、「ハンディキャップ・インターナショナル」など複数の団体は、オバマ大統領の声明を歓迎している。

「大統領声明の前までは、ラオスの不発弾撤去は何百年もかかると思っていた」とMAGのラオス担当責任者サイモン・レイさんは、BBCに話した。「今ではそれが数十年にまで短縮できると期待している」。

「大統領の声明は、私たちにとって、そしていまだに不発弾に苦しめられている遠隔地の貧しい家庭にとって、非常に朗報だ」

同様に「ヘイロー・トラスト」のジェイムズ・コーワンCEOは、大統領声明がラオスの人々に大きな影響をもたらすと評価。「自分たちの土地の上で安全に生活して、農業を行えるようになる。開発やインフラ整備の機会にもつながる」、「戦争が残した爆発物によって、あまりに長いことラオスの人たちは生活を損なわれてきた。死をもたらす戦争の残骸から解放される日に向けて、ラオスは歩み続けている。そのラオスにとって、(大統領声明は)とてつもなく重要な一歩だ」と述べた。

調査による効果は? 

「今まで以上に、汚染の度合いが把握できるようになった」とNPAのルーシー・ピンチス上級研究顧問はBBCに話した。

「三角測量データを使って地雷に汚染された土地を区分けしている。そうすれば、地雷を効率よく撤去できる」

援助団体はさらに、ラオス南部の「ホーチミン・トレール」(北ベトナム軍補給路)や北部の共産党本部周辺に集中した米軍の空爆記録を入手。国防総省記録から、どこの土地が爆撃されたか、どこに不発弾がありそうか、特定しようとしている。

「地雷撤去の国際NGO同士の連携がここ数年で増えているのも、この取り組みを大いに前進させた」とNPAラオス担当責任者のヨナス・ザクリッソンさんはBBCに話した。

しかしそれでもザクリッソンさんはあえて、「国の大半はまだ未調査のままで、問題の程度や性質について情報が限られている」と慎重姿勢を示している。

現在のラオス―米国関係は? 

現職米大統領として初めてラオスを訪れたオバマ氏は、ラオスに対して明確な融和姿勢を示し、米軍の爆撃が「多くの村や山間の渓谷を丸ごと破壊し、無数の民間人を殺害した」と述べた。

ラオスのブンニャン・ウォラチット大統領は、オバマ氏の姿勢が両国間の信頼拡大につながると歓迎し、行方不明米兵の発見と帰還に今まで以上に協力すると約束した。

(英語記事 Laos US: Obama regrets 'biggest bombing in history')

(c) BBC News

最終更新:9月7日(水)16時44分

BBC News

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。