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EVバスの急速充電に対応、妨害電波を抑制

EE Times Japan 9/8(木) 12:55配信

■2系統あるパッド間の位置を最適化、干渉結合を抑える

 東芝は2016年9月、EVバス用のワイヤレス急速充電システムから発生する妨害電波を抑制することができる技術を開発したと発表した。44kWの電力を送電しても、電磁波の大きさを従来に比べて約10分の1に抑えることができる。このため、他の無線通信を妨害することがないという。

【2系統を用いて逆相送電する方法を採用し、放射電磁波を抑制することに成功】

 東芝は、ワイヤレス充電システム用途で標準化が進む85kHzの周波数を利用して、44kWの電力伝送を行うワイヤレス充電システムを開発した。システムに用いる周波数が10kHzを超える場合には、電波法における高周波利用設備としての許可が必要となり、装置から放射される電磁波を許容値以下に抑えなければならない。一般的に44kWの電力伝送を行うワイヤレス充電システムだと、放射される電磁波は許容値の10倍以上に達することもあるという。

 東芝は今回、22kWの送受電パッドを2系統の装置に分け、2カ所から逆相で送電する方法を採用した。これによって、システムとして44kWの電力伝送を行っても、2つの系統で放射されるそれぞれの電磁波が互いに打ち消し合い、不要な電磁波を抑制することができるという。

 さらに、2系統のパッド間で干渉結合が生じて、互いに打ち消し合う効果が低減しないよう、2系統のパッド間の干渉がより小さくなる位置関係を検証した。この実験から、2系統のパッドの相対位置を平行に回転させた時、パッド間の干渉結合の方向が反転する性質があり、干渉結合の方向が反転するときに、干渉結合が必ずゼロになることが分かった。この特性に着目し、不要結合がゼロになる相対角度を電磁界シミュレーターで割りだし、パッド間で生じる干渉を抑えることに成功した。

 研究成果を活用すると、44kWの電力送電を行っても、距離が10m離れた位置において、電磁波の大きさを従来に比べて約10分の1に抑制することができることが分かった。この技術を用いると、電波法で定められた許容値を十分にクリアすることができるという。

 東芝が今回開発した技術は、早稲田大学理工学術院紙屋雄史教授研究室と共同で行っている環境省委託事業「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」の一環として、2016年2月から公道実証実験を実施しているEVバスに採用された。この公道実証実験は、2016年末ごろまで予定されている。

 東芝は、この公道実証実験の結果を踏まえて、早期実用化を目指している。なお、研究成果の詳細は、米国ミルウォーキーで開催される国際学会IEEE ENERGY CONVERSION CONGRESS AND EXPOSITION(ECCE)で、現地時間2016年9月19日に発表する予定である。

最終更新:9/8(木) 12:55

EE Times Japan