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焦点:アップル向けマリオが開く任天堂スマホ戦略

ロイター 9月8日(木)20時59分配信

[東京 8日 ロイター] - 米アップル<AAPL.O>の「iPhone(アイフォーン)」向け新作ゲーム「スーパーマリオラン」とともに、任天堂<7974.T>のスマートフォン戦略が本格始動した。

株式市場では「ポケモンGO」フィーバーに続く同社株の新たな上昇相場を期待する声も出ている。しかし、満を持したスマホ市場への参入には、既存ゲーム機との棲み分けという大きな課題が残る。変化に賭けた任天堂の挑戦が新たな成長につながるかどうかは、なお見極めきれない。

<「ベストシナリオに近い」>

電撃的な発表だった。世界的な人気ブランド「マリオ」がアイフォーン画面を飛び回る。任天堂の宮本茂・代表取締役クリエイティブフェローが7日、米サンフランシスコで行われた「iPhone7」の発表会場に登場。スーパーマリオランのアップル端末向け配信を明らかにし、市場に驚きが走った。

2カ月前のポケモンGO人気による株価急騰局面を彷彿(ほうふつ)とさせるように、任天堂の株価は再びジャンプアップし、7日の海外市場(ADR)での急騰に続き、8日の東京市場でも一時ストップ高に迫る18.2%高となった。

「アップルのアイフォーンという世界的に普及するモバイル端末向けに、マリオという世界的に知名度の高いキャラクターを使ったゲームを出すことは、組み合わせとしてはベストシナリオに近い」と岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストは指摘する。

ポケモンGOが新型の腕時計型端末「アップルウォッチ」に対応することも明らかとなり、サノヤスHD<7022.T>など関連銘柄も大幅高。8日の日本株市場は全体的にさえない展開だったが、「任天堂株とその関連株が孤軍奮闘した」(国内証券ストラテジスト)格好となった。

株価上昇を支えたのは、今回デビューするスーパーマリオランがポケモンGOと違い、任天堂とDeNA<2432.T>が直接手掛けたゲームという点だ。コンテンツ制作は任天堂が、サーバー関連はDeNAが担当し、収益は役割分担に応じて分配される。

ポケモンGOは米ナイアンティックが開発し、配信を行っている。任天堂の関与は薄く、基本的には出資比率に応じた利益しか受け取れない。スーパーマリオランの収益への貢献度合いは、ポケモンGOよりは高くなるとみられている。

任天堂が従来のビジネスモデルとは一線を画す新たなスマートフォン向け事業の成果を打ち出した点にも、市場からは前向きな評価が聞こえる。 

いちよしアセットマネジメント執行役員運用部長の秋野充成氏は、任天堂株について「短期的に反動安はあっても、持続性のある相場になりそうだ。ファンダメンタルズを評価した資金も入る可能性がある」と指摘。「『任天堂も変われた。他の日本企業はどうなのか』といった視点で、海外投資家が日本企業を注目する契機になるかもしれない」と話す。   

<業績の先行きには不透明感>    

ただ、任天堂をめぐって相次ぐ派手な話題とは裏腹に、同社業績の先行きにはなお不透明感が残る。市場でも「アップルとの発表が実際にどの程度収益に影響を及ぼすものなのか、見極めが必要」(外資系投信)との声も少なくない。

8日の任天堂の売買代金は3784億円。東証1部全体の17%強と一極集中ぶりをみせたが、個別銘柄として過去最高記録を付けた7月20日の7323億円と比べれば、約半分にとどまっている。ポケモンGOで盛り上がった任天堂ブームも沈静化に向かいつつあるととらえられなくもない。

任天堂の4─6月期業績は為替差損の計上を背景に、245億円の最終赤字。17年3月期連結業績予想は、純利益が前年比2.1倍の350億円となる見通しだが、一方で年度末の前提為替レートは1ドル110円、1ユーロ125円と、実勢よりも円安方向に設定している。

不安材料は円高の影響だけではない。「スマホ向けゲーム展開の一方で、既存のゲーム機とどう棲み分けをしていけるかも注視される」と内藤証券・投資調査部長の田部井美彦氏は、スマホゲーム参入で同社が抱え込む問題点を指摘する。  

また、マリオ投入の発表の裏で、今秋に投入予定だった「どうぶつの森」と「ファイアーエムブレム」の投入時期が「2017年3月まで」に変更された。また、17年3月までに「5タイトル程度」としていた投入計画も4タイトルで確定した。

「程度」という表現をどう解釈するかにもよるが、投入計画が未達に終わった印象はぬぐえない。任天堂は「今期業績への影響は織り込み済み」(広報担当者)とコメントしている。

予想PER(株価収益率)が282倍台と、すでにバリュエーションでは説明が付かない位置にある任天堂株。直近では安倍晋三首相がリオデジャネイロ五輪の閉会式で、マリオに扮(ふん)して登場したことも記憶に新しい。「国策に売りなし」の相場格言すら意識される同社だが、その変化が中期的な成長にどう結び付くか、市場が一喜一憂する局面はなお続きそうだ。

(長田善行 取材協力:志田義寧 編集:伊賀大記、北松克朗)

最終更新:9月8日(木)23時27分

ロイター

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