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【全米テニス】錦織のラケット職人・細谷さん、準Vの14年に似たテンション

スポーツ報知 9月9日(金)6時5分配信

◆テニス 全米オープン第10日 ▽男子シングルス準々決勝 錦織(1―6、6―4、4―6、6―1、7―5)マリー(7日、米ニューヨーク・ナショナル・テニスセンター)

 錦織のラケットにストリングス(ガット)を張る細谷理(ただし)さん(46)は、スタジアムに設けられた職人が集まる部屋で約4時間の激闘を見守った。裏方として冷静な視点で錦織を支えているからこそ、準優勝した14年大会を思い出させる強さ、そしてマリーの不安要素を見抜いていた。

 錦織が使うウイルソンの契約ストリンガー(ストリングスを張る職人)、細谷さんは、金星を会場内の作業部屋にあるテレビで見守った。「自分で(コート内に)ラケットを持って行くタイミングもあったけど、テレビに映るのは恥ずかしい」と裏方に徹した。

 選手が指定する種類のストリングスを指定の張力(テンション)で張っていくのが仕事。全米は16年連続で参加している。ラケットの張力はおおむね1ポンド(約453グラム)単位で調整する。強いと球は飛びにくく、緩いと飛びやすい。温度や湿度、時間経過でも変化し、打球に影響を与える。大会前の練習で感覚を確認し、試合で使う張力を決めるのが一般的。調子がいい時はブレが生じないという。

 錦織はこの試合、1ポンド違いで3パターン10本のラケットを用意した。全試合、同じだった14年に似ていた。「球が伸びているし、顔つきも良かった」と好調を感じとった。試合中に受けた3本の追加発注も範囲内。1回戦負けした15年は最終的に10ポンドも上げ、今回と大きく違う。

 職人目線でマリーの不調を見抜いた。試合中の張り直し依頼がほとんどないが、今大会は何度も頼んでいた。「感覚が合っていなかったんでしょう」。この試合も第2セットの途中で2本を追加発注。最終セットの終盤、6本のラケットを並べ、どれを使うか悩んでいた。

 試合中は常に発注に応じられるよう待機し、観客席にはいられない。勝利後も気になるのは翌日の練習時間。「張りたてが好きだから」と早起きも少なくない。欠かせない“チーム錦織”の一人だ。

(大和田 佳世)

最終更新:9月27日(火)20時0分

スポーツ報知