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<機動隊員水死>水中に沈めた巡査に有罪 地裁「過失の程度重い」

埼玉新聞 9月8日(木)0時4分配信

 埼玉県警機動隊のプール(朝霞市)で2012年6月、水難救助部隊の佐々木俊一巡査=当時(26)=が訓練中に水死した事故で、業務上過失致死の罪に問われた、当時指導員だった県警巡査渡辺哲範被告(33)の判決公判が7日、さいたま地裁で開かれ、栗原正史裁判長は「過失の程度は重い」と渡辺被告の過失を認定し、禁錮1年6月、執行猶予3年(求刑・禁錮1年6月)を言い渡した。渡辺被告側は控訴しない方針。

 判決で栗原裁判長は、息継ぎの余裕を与えず複数回にわたって水中に沈めた行為を「生命身体に重大な危険を及ぼすもので、相手の体力や技量を十分配慮すべきことは明らか。過失の程度は重い」と述べた。

 これまでの公判で、検察側は「危険性の高い行為を自ら実行し、責任は免れられない」と指摘。「他の指導員らに責任の一端があるとの主張は本末転倒」と述べていた。

 弁護側は訓練員を水中に沈める行為を「訓練の一環で禁止されていなかった」と強調。「佐々木巡査のパニック状態を見落とし、被告人の行為を容認した他の指導員にも落ち度があり、被告人に全責任を負わせるのは相当ではない」と主張し、救命措置が遅れた責任は水難救助部隊全体にあるとしていた。

 判決では、渡辺被告が指導員として直接、佐々木巡査を沈めた点に触れ、「被告人自身が生命身体の安全に細心の注意を払うべきだった」「被告人が直ちに適切な救命措置を講ずるべきだった」と弁護側の主張を退けた。一方、渡辺被告が警察官の失職も含め、相応の社会的制裁を受けることが見込まれる点を考慮し、執行猶予付き判決とした。

 渡辺被告は初公判で無罪を主張していたが、その後の公判で一転、「佐々木巡査のパニック状態を見落とした」などと起訴内容を認めていた。

 判決によると、渡辺被告は12年6月29日、水に溺れるなどの事故を未然に防止すべき業務上の注意義務を怠り、訓練していた佐々木巡査を水深3メートルのプール中央に移動させ、体をつかんで繰り返し沈めて溺れさせ、低酸素脳症などにより死亡させた。

 県警によると、有罪判決が確定すれば、現在休職中の渡辺被告は地方公務員法に基づき失職する。

最終更新:9月8日(木)0時18分

埼玉新聞