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伊集院静さん「人間ずっと不幸というのはあり得ない」…「大人の流儀」第6弾出版

スポーツ報知 9月8日(木)15時0分配信

■「不運と思うな。」

 作家・伊集院静さん(66)が、このほどエッセーシリーズ「大人の流儀」の第6弾「不運と思うな。」(講談社、1000円)を刊行した。2011年3月に第1弾を出版して以来、シリーズは累計で148万部を突破し、エッセーでは異例のロング&ベストセラーとなっている。多くの読者を引きつけ続ける魅力はどこにあるのか。伊集院さんに聞いた。

 愛する人との死別した時、夢破れて道を失った時…。伊集院さんが取り上げるテーマは、誰もが人生で味わう悲しみや苦しみがやって来た時にどう向き合うかということだ。図らずも、シリーズ1冊目が出版されたのは2011年3月11日の東日本大震災の8日後だった。

 「最近は、日本人の大勢が不安になる出来事が2年に一回ぐらい起きている。不安定な気持ちになることに意外とはまってしまっているというのはあるかもしれません。編集スタッフと話しています。『売れるということは、不運と思っている人がものすごい数でいるってことだぞ』って(苦笑)。こないだサイン会で『ボーナスを半分カットされましたが、これを読んで大したことじゃなかったと思えました』という人もいた(笑い)。全部は無理でも読むことで不安を解消する方向性をつけられるのかもね」

■タイトル初めてつけた

 これまでのタイトルは編集スタッフがつけて来たが、6冊目で初めて伊集院さん本人がつけた。その書き出しは仙台市の自宅で「3・11」を迎えた描写から始まる。そして20歳の時に弟、35歳の時に前妻の女優・夏目雅子さんと死別した悲しみを振り返る。苦しみ抜いた上での結論を著書の中でこうつづった。「己を不運と考えた瞬間から、生きる力が停滞する」。そして「生きる上で大切な、誰かのために生きる姿勢が吹っ飛んでしまう」と。

 「弟や家内を亡くした時は、なぜ彼、彼女だけが逝ってしまうのか。やがてはオレだけはなぜ生きているんだ、と思いましたよ。でも、それを不幸、不運と思うような発想はやめろということなんだ。いつまでもそういう発想だと抜け出せなくなっちゃう。オレも実際に酒とギャンブルに溺れたしね。でも、世の中には同じような悲しみや不幸に遭っている人が多いことに気づくようになった。悲しみの真っただ中にいる時は、周りの人に何を言われようと分からないんだけど、人間は元気で生きていれば、形の違う幸せに出逢えるものなんだよ。ずっと不幸というのはあり得ないんだ」

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最終更新:9月8日(木)15時0分

スポーツ報知