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米軍機墜落現場「慰霊公園に」 大和市議会委、陳情審査打ち切り

カナロコ by 神奈川新聞 9月8日(木)18時0分配信

 52年前に大和市で起きた米軍機墜落事故現場の慰霊公園化を求める陳情が6日夜、市議会常任委員会で審査され、保守系委員の提案で陳情審査の打ち切りが決まった。陳情は左派勢力を母体とする住民団体が提出しており、政治上の対立の構図がそのまま表れた結果となった。遺族は「事故を風化させないための陳情にほかならず、党利党略に縛られた茶番だ」と憤った。

 「遺族の思いをどうかかなえてください」。事故で兄3人を亡くした舘野義雄さん(64)=東京都西東京市=は常任委で、陳情者を代表して意見陳述した。委員から心境を問われると、「少年時代に負った悲しみの傷はいまも心に残っている」と涙ながらに答えた。

 石田裕委員(虹の会)は「当事者である舘野さんの意思が最優先」と指摘。公園化に賛同する9187筆の署名が寄せられており、山崎佐由紀委員(神奈川ネット)も「議会として重く受け止めるべき」と陳情を支持した。

 これに対し河端恵美子委員(公明)は、2017年ごろとされる厚木基地の空母艦載機移駐に触れ、「騒音や事故の危険性が相当程度軽減される見通しで、採択・不採択の形で結論づけるのは困難」などと審査を事実上打ち切る動議を起こした。

 慰霊碑がある上草柳地区が地盤の古谷田力副委員長(明るいみらい大和)と古木邦明委員(自民党・新政クラブ)は、新政クラブが提案して3月の定例会で設置要望の意見書案が可決された「平和祈念館」を持ち出し、「形あるものをまたつくっていいのか」「墜落事故についても(祈念館に)記録されるように求めていきたい」と動議に賛成した。

 一方、堀口香奈委員(共産)ら3人は「継続してじっくり審議するべき」「移駐と陳情はおよそ関係ない」と動議に反対。可否同数で中村一夫委員長(自民党・新政クラブ)の採決により、審査の打ち切りが決まった。

 舘野さんは常任委後、「陳情に対する賛否の意思表示を避けるための動議で、政治家として卑劣な手段だ。むごい死に方をした3人の兄が浮かばれない」と話した。

 9日に予定される慰霊祭は、今年も事故現場の国有地内に立つ慰霊碑前でフェンスを隔てて開かれる。

 ◆大和市米軍機墜落事故 1964年9月8日、米海軍厚木基地を離陸した戦闘機が約700メートル離れた大和市上草柳の舘野鉄工所に墜落。経営者の舘野正盛さんの長男(25)、次男(23)、三男(19)ら5人が死亡し、3人が負傷した。国との示談は成立したが、舘野さんは墜落現場の国有地の払い下げを求めて提訴し、82年に1200万円の支払いで和解した。

最終更新:9月8日(木)18時0分

カナロコ by 神奈川新聞