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沖縄、基地問う県民投票から20年 今も変わらぬ重い負担

沖縄タイムス 9月8日(木)5時0分配信

 米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しの賛否を問う沖縄の県民投票から8日で20年を迎える。賛成が約9割を占め、全国初の県民投票で県民は「基地ノー」の明確な民意を示した。だが、現在も国土面積の0・6%にすぎない沖縄に在日米軍専用施設面積の74・48%が集中。地位協定の改定は実現せず、米軍関係者による事件・事故が相次ぐなど、過重な基地負担が続いている。

 96年の県民投票では賛成票が48万2538票に上り、投票総数の89%を占めた。当時の有権者数は90万9832人だった。

 県民投票から20年が経過したが沖縄には今もなお重い基地負担がのしかかる。

 2014年の名護市長選や知事選、衆院選など主要選挙でいずれも名護市辺野古への新基地建設に反対する候補が当選したが、政府は県民の民意を顧みず建設を強行。東村高江周辺の米軍北部訓練場へのヘリパッド建設など沖縄では民意を無視した国策が押し付けられている。

 また、米軍属の男による暴行殺人事件など凶悪事件も後を絶たず、県は日米地位協定の抜本的な改定を求めているが、日米両政府は応じていない。

<民意どう実現>

 米軍基地の整理縮小などの賛否を尋ねた県民投票から、8日で20年を迎える。依然として在日米軍専用施設の約74%が沖縄に集中しており、当時の投票総数の89%が示した賛成の民意は実現していない。当時の投票の意義や今後の展望などを関係者に聞いた。

■国民投票へ法整備強調 大城紀夫(連合沖縄会長)

 1996年の県民投票は、県内最大労組の連合沖縄が主導して、条例の制定に必要な「有権者の50分の1以上」となる約3万4500筆の署名を集めた。現会長の大城紀夫氏は、県民投票の民意はいまだ「実現していない」とし、「必要なのは国民投票だ」と国レベルで名護市辺野古の新基地建設の是非を政府に示す必要があると強調する。

 県民投票の意義は何だったのか。当時の大田昌秀県政は、普天間飛行場の県内移設の賛否をどう判断するかという時期にあった。投票の背景には、大田知事が自信を持って県内移設を反対できる状況をつくる意味もあった。

 「大田知事に住民側からきちんと明確にメッセージを送ることで、県民から大田知事を通して、当時の橋本首相に民意を届けてもらうという目的もあったのではないか」と推測する。

 県民投票は「基地の整理・縮小」と「日米地位協定の見直し」の賛否を問い、賛成が全投票総数の89%を占めた。一方で、20年たった今でも国土面積の0・6%の面積の沖縄に、在日米軍専用施設の約74%が集中している。

 大城会長は「民意は実現していない。県民の民意を無視しているだけでなく、政府の言う普天間飛行場の名護市辺野古への移設も、新基地建設であり基地の機能強化だ。全く逆の方向にいっている」と指摘する。

 16日に判決が出る辺野古違法確認訴訟など、県は辺野古の新基地建設阻止を目指し、国と闘いを続けている。再び、県民の民意を政府に示すための県民投票は必要なのか。

 「必要はないと思う。民意はすでに2年前の知事選など一連の選挙で示している。ただ、今行動するならば、必要なのは政府に対する法的拘束力をもった国民投票だ。政権が自信を持って『辺野古が唯一』と言うならば、国民投票に向けた法律を作るべきだ」と強調する。

 ■米にどう訴えるかが鍵 佐久川政一さん(元投票推進協議長)

 -米軍基地を巡る沖縄の現状をどうみる。

 「沖縄が何を求めているのか、沖縄の心を日米両政府や本土の人に理解してほしくて県民投票をした。有権者の約6割が投票し、基地の整理縮小と日米地位協定の見直しに約9割が賛成。これから大きな変化があるだろうと期待した」

 「だが結局、何も変わらなかった。基地が集中し、地位協定は改定されない。いら立ちもあるし、自分が今までやってきたことは何だったのだろうとも思う。それでも、県民の意思を示した県民投票は無意味ではない。現状を許さず、声を上げ続けることが大切だ」

 -「基地の整理縮小」ではなく「基地撤去」の賛否を問う考えはなかったか。

 「基地の撤去を問うべきだという声も当時あったと思う。ただ、組織や団体それぞれに考えがある。県全体が一枚岩になれない難しさがあり、課題の一つだ」

 -現状を変えるため再度県民投票をするべきでは。

 「当時の橋本龍太郎首相は沖縄の声に耳を傾ける姿勢が見えた。だから期待を持てた。安倍晋三首相は一顧だにしないだろう。閉塞(へいそく)感があり、世論の盛り上がりや機運を感じない」

 「日本政府が冷淡な今、米国にどう訴えるかが鍵だ。基地や地位協定を押しつけられていることを人権や憲法問題に敏感な米側に積極的に伝える必要がある」

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最終更新:9月8日(木)15時20分

沖縄タイムス