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社説[パラリンピック開幕]障がい理解し楽しもう

沖縄タイムス 9/8(木) 7:20配信

 障がい者スポーツの祭典、リオデジャネイロ・パラリンピックが、きょう開幕する。日本勢のメダルラッシュに沸いた五輪に続き、世界にチャレンジする選手たちに声援を送りたい。

 南米初の開催となる大会には、約160カ国・地域から4千人を超える選手が集う。日本からは132人が参加する。

 22競技、528種目で熱戦が繰り広げられるパラリンピックの特徴は、五輪より200以上も多い種目にある。公平に競い合うため、障がいの種類や程度に応じ種目を細分化しているのだ。

 例えば、沖縄市出身の上与那原寛和選手は「T52」というクラスで100、400、1500メートルに出場する。Tはトラック種目で、52は脊髄損傷などで車いすを用いる競技者を示す。同じ種別では数字が小さいほど障がいは重くなる。

 五輪と違って、一般にはまだなじみの薄い競技もある。そのひとつ、視覚に障がいがある選手たちが対戦するゴールボールは、鈴の入ったボールを転がしてゴールを狙うもの。極限の集中力と察知力を必要とする。

 車いす同士のぶつかり合いが唯一認められているウィルチェアーラグビーには、浦添市出身の仲里進選手が出場する。かつては「マーダーボール(殺人球技)」と呼ばれていたほどの激しいスポーツだ。

 障がいを知って、種目を理解し、ルールを勉強すれば、楽しみは増す。

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 東京大会の試金石となるリオのパラリンピックで、日本選手団は金メダル10個を目標に掲げている。

 競泳の視覚障がいクラスで複数の金メダルが期待される木村敬一選手を筆頭に、初めて正式種目に採用された視覚障がい者女子マラソンで金を目指す道下美里選手など有望選手は多い。 

 県出身の上与那原選手も「一番いい色のメダル」と話している。世界ランク3位のウィルチェアーラグビーは悲願のメダルが懸かる。 

 日本選手だけでなく、超人的な身体能力を持つ外国選手のパフォーマンスにも注目が集まる。五輪出場を目指し健常者の大会で上位に食い込む選手もいるなど、競技レベルの向上は著しい。

 今大会では五輪に続き難民チームが結成され、シリアとイラン生まれの選手も出場する。

 選手たちにも思いっきり大会を楽しんでほしい。

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 先月放送されたNHK・Eテレの番組で、「感動する」「勇気をもらえる」など、障がい者の姿を紋切り型に描くメディアの手法が取り上げられ、反響を呼んだ。

 感動を与えるための道具として障がい者が使われることを「感動ポルノ」と呼んだジャーナリストで障がい者の故ステラ・ヤングさんの言葉を引いて問題提起したのである。

 4千人の選手がいれば、4千人のストーリーがある。

 紋切り型を自戒しつつ、共生社会の実現というパラリンピックの趣旨ともしっかり向き合いたい。

最終更新:9/8(木) 7:20

沖縄タイムス