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自主避難 空振り恐れず 静岡県内、局地的大雨

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月9日(金)7時52分配信

 台風13号から変わった低気圧と前線の影響で県内の山間部を中心に大雨が降った8日、一部地域に避難準備情報が出た静岡市葵区の福祉施設は避難対応に追われた。台風10号の豪雨で岩手県岩泉町のグループホーム入所者9人が死亡する被害が発生し、要配慮者避難の課題が浮き彫りになったばかり。福祉施設の職員は岩手を教訓に危機感を持って早めの避難を実践した。

 「念には念を入れて(上階への)垂直避難をした。職員全員に緊張感があった」。静岡市葵区の社会福祉法人楽寿会の有馬良建理事長(59)は急に雨が強まった同日午前、デイサービス利用者の避難を始める決断を下した。

 安倍川と足久保川に挟まれた場所にある楽寿会の高齢者福祉施設。1階にいた利用者は10人。職員の誘導で階段とエレベーターを使って2階に避難した。同施設は避難準備情報の対象区域外だったが、河川氾濫を警戒し、自主的に避難を判断した。有馬理事長は「想定外は言い訳にならない。空振りを恐れない大切さを再確認した」と振り返った。

  背後に山がある同区内牧の障害者療護施設「静岡市桜の園」は、避難準備情報が発令される前、土砂災害警戒情報が出た時点で入所者ら52人を裏山から一番遠い部屋に誘導した。入所者のほとんどが重度の障害者。ベッドごと避難した人もいたが、職員約30人が避難誘導に当たり、混乱は起きなかった。

 同施設は8月末にBCP(業務継続計画)を策定し、避難基準を定めた。避難準備情報は夕方に解除されたが、避難が夜間まで続く場合や避難勧告が出る事態に備え、系列の障害者福祉施設と連絡を取り、入所者を移動させる準備も進めていた。山本正樹施設長(65)は「自力で動けない入所者の対応には時間がかかる。台風が接近する前から情報を集め、職員の配置を考えるなど事前の準備が大切」と強調する。

 避難準備情報の発出は、避難に時間を要する高齢者や障害者らに避難行動の開始を促す狙いがある。県危機対策課の藤田和久課長(53)は「施設関係者は周囲に普段と違う様子はないかアンテナを高くし、異常があれば、自らの判断で早めの対応に努めてほしい」と話した。

静岡新聞社

最終更新:9月9日(金)7時52分

@S[アットエス] by 静岡新聞