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南都銀行が進める吉野の森と林業を守るプロジェクトとは

ZUU online 9/9(金) 6:10配信

地方銀行などによる地域密着型の活動が注目されている。とりわけ、その地域の特性を生かした事業への参加は、今後の金融機関の在り方を象徴するようなプロジェクトとして注目されることが多くなっているのだ。

たとえば、奈良県に拠点を置く南都銀行が進める森林事業へのプロジェクトは、大きな反響と共感を呼んでいる。日本の森や林業を守るためには、ただやみくもに森林を伐採しない、といった活動だけではうまくいかない。植樹や間伐などの手入れ、そして伐採、収穫といった長期間の視点に立ったサイクルが不可欠なのだ。

その森林事業へのアプローチとして南都銀行が支援しているのが「Yoshino Heart プロジェクト」だ。吉野産の杉やヒノキを原材料とした木製品の普及のため、「地域の林業及び関連産業の活性化」そして「森林の整備とそれに伴うCO2吸収量の増大による地球環境保全」の二つを同時に目指したプロジェクトである。

■古都「奈良」を拠点に推進する銀行主導の環境プロジェクト

日本の資源の中でも最も有効活用できていないものの一つとされるのが「森林資源」である。大量の杉を植樹したものの、木材価格の下落で林業全体が衰退しつつあるとみられているのが現実だ。そんな状況の中で、地方銀行全行が参加している組織に「日本の森を守る地方銀行有志の会」がある。日本の森や林業に対する理解を深めてその発展に尽力する会だが、その金融機関が進めるプロジェクトの中に、南都銀行が支援する「Yoshino Heart プロジェクト」があるのだ。同プロジェクトは、地域の林業家、木材事業者、商工会・各種組合等が作るNPO法人「Yoshino Heart」を中核に、さまざまな企業などが協力する活動で、奈良県吉野地区のポータル機能を兼ね備えた組織といっていいだろう。

日本の林業は1973年に木材需要量がピークを迎え、1980年には木材価格がピークを迎えている(農林水産省『生産林業所得統計報告書』より)。木材価格の下落により、林業の採算性は悪化の一途を辿っているのだ。森林経営は、木を植えて育つのを待って収穫(伐採)するだけと思われがちだが、人工的に作る森林の場合はそれに加えて「森を育てる」という大きな作業が必要になる。たとえば、木の成長に合わせて混みすぎた林の立ち木の一部を間引いて森林の中に太陽光が差し込むようにする「間伐」は、森林経営にとって不可欠な作業といえる。

そんな森林経営を地方銀行でサポートしているのが、奈良に拠点を置く南都銀行だ。「Yoshino Heart プロジェクト」での南都銀行の役割は、同行が持つブランディング力やマーケティングを駆使して、大都市の環境意識の高い消費者ニーズをとらえ、木材製品に対する新たな需要を開拓することだ。実際の活動は、吉野産の杉やヒノキと言った木材を加工した木製品に「Yoshino Heart」のロゴマークを冠して、吉野産の木材製品の知名度を高めブランド化することである。全国的な一流企業との連携を通じて製品化する事業であり、その収益の一部は植樹や間伐等の森林整備に役立てられている。

都市部のニーズを吉野地域の木材製造会社などに伝えることで、供給側と需要側の情報をマッチングさせ、ひいては森林と地球環境の保全につなげている。南都銀行が支援する「Yoshino Heart プロジェクト」は、「吉野の林業関連産業の活性化」「森林の整備を通じたCO2吸収による地球環境保全等」を目標にして、事業を推進しているのだ。

■地場産業の活性化+地球環境保全を同時に可能するプロジェクト

では、目標達成のために、実際どのような事業を行っているのだろうか。

● 吉野林業関連産業の活性化
最初に製品化できたのは「割り箸」であった。プロジェクト参加企業であったコンビニエンスストアの「ナチュラルローソン」の店頭で弁当用に配布されていた中国産割り箸を、吉野ヒノキ製に替えた。箸袋に広告を掲載する「アド箸」と呼ばれる仕組みを使って、安価な中国製割り箸との価格差を埋める形で、割り箸を吉野ヒノキ製にすることができたのだ。

さらに、吉野産の間伐材チップを使って製紙原料に活用した「吉野3.9(サンキュー)ペーパー」もプロジェクトの一環として製品化した。この紙は、製紙工場までの間伐材の運搬費用を紙の購入者(紙のユーザー)が森林所有者に代わって負担することで、林野庁が定めた間伐材の有効利用に相当する製品として認められ、やはり広告入りのテーブル敷紙としてファミリーレストラン「ロイヤルホスト」の全国店舗で活用された。

こうした活動を通して、いずれは全国的にブランド価値が向上することを目指している。最終的には、建築資材として「Yoshino Heart」のロゴマークの付いた吉野材全体の普及を目的としたプロジェクトになっているのだ。

● 森林の整備を通じたCO2吸収による地球環境保全等
南都銀行では林野庁が推進する「木づかい運動」にも参加している。木づかい運動というのは、国産材の積極的な利用を通じて植樹や間伐等の森林の健全なサイクルを取り戻し、CO2をたっぷり吸収する元気な森林づくりをする運動だ。この木づかい運動は「Yoshino Heartプロジェクト」の一環として製品化した「アド箸」や「吉野3.9ペーパー」とも連動した動きといえる。

同行はこうした木づかい運動が評価されて2011年10月、木づかい運動推進部門において顕著な功績があったとして、銀行としては初めて農林水産大臣から感謝状が贈られた。ちなみに、南都銀行は立ち枯れなど衰退の兆候が見られる世界遺産・吉野山のシロヤマザクラを守るための「吉野の桜を守る会」にも特別会員として参加している。約3万本に達する桜を守るのもまた、地域の活性化を維持し、環境問題にも配慮した活動といっていいだろう。

■南都銀行が注目されているのはなぜか

こうした南都銀行の活動は、前述したように「林業の復興なくして、本当の意味での森林保全はできない」という考え方に基づいている。地方銀行の活動として、地元はもちろんのこと、新しい金融機関の取り組み方として全国的にも注目を集めているのだ。たとえば、同行では環境マネジメントシステムの「ISO14001」の国際規格に適合していることを自らの責任を持って宣言する「自己適合宣言」に取り組んでいる。

ここまで環境問題に真摯に取り組んでいる銀行も少なく、南都銀行が注目されている理由もそこにあるのだ。(提供:nezas)

最終更新:9/9(金) 6:10

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