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最大200万円の住宅取得補助も――妙高市役所の木浦笙子さんに聞く行政の支援 #U&Iターン #新潟

@IT 9月9日(金)8時10分配信

 こんにちは。「しごとのみらい」の竹内義晴です。

 新潟のU&Iターン事情をお届けする本連載、第1回「エンジニアで飯が食えるか?――統計で見る新潟の給与、残業時間、求人数」は、新潟の全体像やエンジニアの仕事事情を紹介しました。

【妙高市が配布している各種冊子】

 この記事を読んで、「地方で働いてみるのも、悪くないかな」と思い始めている人もいるかもしれません。一方、いざ「移住!」となると、いろいろな不安が出てくる人もいるでしょう。そんなときに心強い味方となるのが、行政機関です。

 そこで今回は、新潟県妙高市にある妙高市役所のご担当者に、行政機関の移住者支援について根掘り葉掘り聞いてきました。

●移住のコンシェルジュ

 今回お話を伺ったのは、妙高市役所 建築課 建築住宅係で移住を担当している、笑顔がステキな木浦笙子さん(以下、木浦さん)です。

竹内 今日はよろしくお願いいたします。読者の皆さんに、妙高市を紹介していただけますか?

木浦さん 妙高市は長野県との県境、新潟県の南西部に位置する、自然が豊かで1年を通じて温泉やスキーなどを楽しめる観光地です。

竹内 移住が担当とは、具体的にはどのようなことをされているのですか?

木浦さん 移住に関する窓口全般を担当しています。移住の不安は、「住宅」「子育て」「就職」「医療」「介護」など、いろいろあります。2016年の6月からは「移住のコンシェルジュ」を市役所内に設けて、窓口を充実させています。

竹内 移住を積極的に進めたいとお考えなのですね。課題はありますか?

木浦さん 現在の課題は「移住までつながらないこと」です。年に数回、首都圏で相談会を開催しており、移住を希望される方からのお問い合わせは年々増えています。平成27年は160件近くありました。けれども、そこから実際に移住する方はまだ少ないのです。

竹内 なぜ、移住につながらないのでしょう?

木浦さん ひと言でいえば、「憧れと現実のギャップ」でしょうか。移住を希望される方は、「田舎暮らしがしたい」「農業をしたい」「田舎できれいな家に住みたい」など、いろいろな憧れを抱いています。移住をかなり「きれいなもの」として描いているようです。けれども、現実は……見学した家はイメージと違うし、スーパーは車でちょっと走ればあると思っていたのに、実際は結構遠いし……。

竹内 (笑)

木浦さん また、妙高市は雪が多いところです。都会からみた雪国のイメージは「雪がチラチラ降ってキレイ」だと思うのですが、実際は……。

竹内 2~3メートル積もりますものね。

木浦さん そうなんです。「誰が雪かきするの?」という質問に……。

竹内 「あなたです」と(笑)。

木浦さん ええ(笑)。それで、「ちょっと考えます」となってしまうケースが多いのです。

竹内 それでも、実際に移住された方もいますよね。その方は何とおっしゃっていますか?

木浦さん 「山菜がこんなに採れていいの? こんなにスゴいことを誰も知らないなんて」とよく言われます。

竹内 都会では山菜は貴重品ですし、道端に生えているものは食べませんもんね。妙高の人は春になると、「早く山菜を食べたい」とウズウズします。

●移住者支援

竹内 もしITエンジニア読者が移住を希望したら、どのような支援をしてくれますか?

○住宅支援

木浦さん 住宅に関しては「お金」と「情報」の支援があります。

 1つ目は、「妙高市住宅取得等支援事業補助金」です。妙高市内での定住を促進するため、住宅と土地の取得、および増改築などに掛かる費用の一部を補助する制度で、住宅取得なら最大で200万円、増改築なら最大で50万円補助しています。

竹内 200万円は大きいですね。他には?

木浦さん 「妙高市UIターン促進住宅支援事業補助金」もあります。定住人口の増加を図るために、新潟県外から妙高市へUIターンされる方に対して、賃貸住宅などの家賃や契約時の初期経費の一部を補助する制度です。2年間で最大32万円補助しています。

竹内 情報に関する支援は?

木浦さん 市のWebサイトに「空き家情報」を写真付きで掲載しています。今後もさらに充実させていく予定です。

竹内 安いところは150万円で家が買えちゃうんですか。すごいな。でも、今の暮らしを全部投げ打って、いきない移住するのってかなりハードルが高いと思うんです。ハードルを下げる制度はありますか?

木浦さん 空き家物件によっては、「お試し入居」ができます。また、「クラインガルテン妙高」という、農園がついている一定期間滞在できる施設もありますので、妙高の生活をお試し体験できます。

○地域との交流

竹内 住むところが決まったら、次に気になるのは「地域との交流」です。ほら、よくいうじゃないですか。地方に行くほど「閉鎖的」とか「昔からのしきたりがある」とか。

木浦さん 直接的な支援ではありませんが、妙高市内各地で、地域住民が主体となって行っているイベントがたくさん行われています。これらのイベントへの参加をお勧めしています。

竹内 そういえば、私がUターンしたときに地域の人と打ち解けるきっかけになったのも、地元のイベントでした。

木浦さん 地域の人との交流は、最初は気を使うと思います。けれども、受け入れる地域の方も気を使っているのです。お互いが歩み寄り、打ち解けるきっかけとして、イベントはいい機会だと思います。イベントを機に、あいさつしたり会話をしたりするようになると、自然と打ち解けられます。

○就職や起業

竹内 住まいはあって、地域との交流もOKとなったら、次は「仕事」かなと思うのですが、就職や起業に関する支援はありますか?

木浦さん 就職については、通常は「ハローワーク」を紹介します。また、市内から通勤可能な事業所にU&Iターンで就職された方を対象に、就職に必要な物やサービスを受けるために必要な資金を貸し付ける「ふるさと就職支援資金」貸付制度があります。

 また、耕作放棄地が増えているので、「就農」には力を入れています。今はITの仕事をされていても、もし近い将来、「農業もちょっとやってみたいな」……と思われたら、ご相談いただきたいです。

○生活や子育て

竹内 家族で移住する場合、外に仕事がある側は新しい出会いがあるので少しずつ生活にも慣れていくと思います。

 けれどもパートナーは、周りとの付き合いがなく、1人孤独に家の中で引きこもってしまうことがあるかもしれません。私の奥さんが以前、そんな感じでした。

木浦さん ……そうですね。

竹内 初めての環境で突発的なことが起こると、どうしたらいいのか分からず不安になることってあると思うんです。例えば、子どもが急に熱を出したとか。そんなときに「困ったらまずここへ!」みたいなものはありますか?

木浦さん 妙高市の子育て支援は充実していますし、困ることがないように、また困ったときに助けを求められるように、いろいろな「冊子」をお渡ししています。さまざまな「手続き」や「連絡先」が載っているので、まずはそこに連絡してください。

竹内 相談窓口が分かっていると、心強いですね。

●移住を考えているエンジニアへ

竹内 最後に、移住を検討しているエンジニアに、メッセージをお願いします。

木浦さん 首都圏に比べたら、利便性は落ちますし、不便に感じることもあるかもしれませんが、妙高にはそれに負けないぐらいの自然や良い空気があります。

 私が子どものころは、街に賑わいがありました。その賑わいを取り戻せたらいいなと思うのです。妙高の人はみんな優しいので、どんな人でもなじめるんじゃないかと思います。

 移住するなら、自分を「よそ者」だと思わずに、積極的に関わってほしい……と思います。そうしていくことで、自然と地域になじめます。地域に親しんでくださる方が移住していただけたらうれしいです。

 北陸新幹線が開業して、首都圏からサクッと来れるようになりました。ぜひ、妙高に足を運んでください。

竹内 ありがとうございました。

●「リアル」をいかに楽しむか

 木浦さんのお話で印象的だったのは、「移住をかなり『きれいなもの』として描いているようだ」という言葉でした。

 テレビで見る移住は良いところだけ取り上げられているし、インターネットの情報もそういう傾向になりがちです。

 けれども実際の移住は、「きれいなもの」だけではないし、それぞれの環境での「リアル」があります。その「リアル」をいかに楽しめるか……が、移住成功のポイントなのかなと思います。

 「イメージ」と「リアル」のギャップを埋めてくれるのが行政機関です。もし「U&Iターンしてみようかな」と思ったら、行政機関に相談するのもよい方法です。

 「U&Iターンの理想と現実:新潟編」、次回は私がUターンしたときの経緯や、Uターンを決めてから実際に移住するまでに抱いた不安、Uターンしてからどうやって地域になじんだのか、現在に至るまでの「リアル」をセキララにお話しします。

最終更新:9月9日(金)8時10分

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