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花巻名物「マルカン大食堂」復活にめど、クラウドファンディングなどで目標達成

ZUU online 9/9(金) 14:20配信

6月に閉店した岩手県花巻市のデパート「マルカン百貨店」の展望大食堂が、2017年2月に復活するめどがついた。運営引き継ぎを検討してきた同市のまちづくり会社「上町家守(やもり)舎」(小友康広代表)が明らかにしたもので、クラウドファンディングなどで進めてきた資金調達が目標額に達した。

展望大食堂はマルカン百貨店ビルの6階にあり、高さ25センチのソフトクリームが名物になっていた。上町家守舎は展望大食堂の開店後、1階フロアに物販のテナントを募集、他のフロアも収益が見込めれば段階的に利用を再開したい考えだ。

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       (https://zuuonline.com/archives/111101)

■第1弾として2017年2月に大食堂と駐車場の営業再開

展望大食堂は鉄筋コンクリート8階建てのマルカン百貨店ビル6階に残る店舗をそのまま活用する。新たに東京で飲食店を経営していた地元出身の男性をマネージャーとして採用するほか、百貨店時代に働いていたスタッフを引き続き雇用し、ソフトクリームやナポリタンにトンカツが乗った「ナポリカツ」など名物料理を提供する。

上町家守舎は耐震工事を含めた改修工事の初期費用を6億円と見込み、金融機関の融資やクラウドファンディングなどの寄付で資金調達することにしていたが、消防設備の設置費用などで経費削減に努め、初期費用を約3億円に圧縮した。

クラウドファンディング上の目標額は2億円。これは展望大食堂復活のための不足額全体として設定したもので、経費節減など会社側の努力で1億8000万円、クラウドファンディングによる寄付などで2000万円を確保し、目標額を達成した。

特殊なクラウドファンディングの形を取ったのは、展望大食堂従業員の失業期間を短くするためで、経費節減や金融機関への融資要請など資金調達を同時進行で進める必要があったという。

近く一部の改修工事に入り、第1弾として2017年2月を目標に展望大食堂と駐車場の営業を再開する。2017年6月ごろから本格的な耐震工事を進め、1階物販フロアのテナントが決まった段階で1階をオープンする。オープン時期は展望大食堂営業再開の1、2年後としている。

全体の事業計画は1、6階と駐車場だけで検討しているが、その後、2階など他の階にテナントが集まり、各階ごとに採算が取れると判断すれば順次、オープンしていく方針だ。

■街のシンボル復活に地元から喜びの声

マルカン百貨店は1973年、中心商店街の上町商店街にオープンした。売り場面積4700平方メートルの店内では、1階から5階で衣料品や家電製品、雑貨などを販売、市内唯一のデパートとして商店街の核店舗になってきた。

中でも6階の展望大食堂はソフトクリームやナポリカツが人気を集めた。中心市街地の空洞化で上町商店街の人通りが少なくなってからも、500席以上ある大食堂内はにぎわいを続け、花巻のシンボルと呼ばれてきた。

マルカン百貨店は設備が老朽化したうえ、耐震診断で「不適合」と判断され、6月で43年の営業を終えた。しかし、展望大食堂と市内唯一のデパート閉店を惜しむ声が市民の間で上がった。

こうした中、市内のまちづくり会社花巻家守舎が運営引き継ぎに名乗りを上げ、マルカン百貨店ビルの運営引き継ぎを当面の目的とする上町家守舎を新たに設立して事業計画の検討に入っていた。

当初期待されていた複合商業施設としての営業再開ではなく、展望大食堂から順に開業する形となり、寂しがる声も一部にあるが、花巻商工会議所は「補助金に頼らず、大食堂の営業再開のめどを立てたのは評価できる。地域活性化の力になってほしい」と期待している。

上町家守舎の小友代表は「再開から10年、20年と変わらぬ雰囲気でファンのみなさんに喜んでいただけるマルカン大食堂を提供するつもりだ。これをきっかけに上町商店街で新しい花巻の商売が生まれていくお手伝いもしていきたい」と抱負を述べた。

■経営安定へ地域を挙げた支援が必要

中心商店街はいわばその都市の顔。人通りや店舗の減少が続けば、都市の活気も失われる。もともとはマイカーが普及する前の公共交通機関が人々の足だった時代に形成され、百貨店を核店舗として集客している地域が多い。

だが、公共交通機関が今も住民の足となっている大都市圏を除けば、マイカーの普及や郊外型ショッピングセンターの登場、地方の急激な人口減少などからで空洞化が進み、苦境に立たされている。

百貨店自体も時代に合わなくなり、かつてのような集客力を発揮できなくなってきた。花巻市以外でも中心商店街の百貨店閉店が相次いでおり、百貨店の撤退で商店街の客足がさらに減少するところが後を絶たない。

人口減少の続く地方都市にあえて出店する百貨店は少なく、ディスカウント店など商業施設が進出すればまだ良い方。後継店が決まらず、駐車場になったり、公共施設が入居したりするところもある。

花巻市のように地元の業者が運営引き継ぎに乗り出すのは珍しい例だが、展望大食堂の営業再開を中心商店街の活性化という難題解決に結びつけるには、乗り越えなければならない課題がたくさん残っている。花巻の正念場はこれからだ。

高田泰 政治ジャーナリスト
関西学院大卒。地方新聞社で文化部、社会部、政経部記者を歴任したあと、編集委員として年間企画記事、子供新聞などを担当。2015年に独立し、フリージャーナリストとしてウェブニュースサイトなどで執筆中。マンション管理士としても活動している。

最終更新:9/9(金) 14:20

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