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「iPhone 7」のカメラはどこがどう進化したのか

ITmedia Mobile 9月9日(金)0時10分配信

 「iPhone 7」そして「iPhone 7 Plus」は、いろいろな面が進化したけれども、力を入れているのは今回も「カメラ」だったと思う。

【iPhone 7 Plusのカメラはこうなっている】

 カメラ性能はどこまで進化したのか。何が変わったのか。デュアルカメラは本当に有効なのか。本当のところは、実機を使って実際に撮ってみないと分からないのだけれども、まずは、公開された情報からあれこれ推測してみよう。カメラ機能で買うか買わないか決める人は必見。

●iPhone 7はより明るいレンズで手ブレ補正付!

 今回発表された2モデルのうち、目立つのは、目玉が2つ並んだiPhone 7 Plusだが、多くの人が喜ぶべきはiPhone 7のカメラの進化だ。

 現行の「iPhone 6s」に比べてすごく進化している。画素数は1200万画素と変わらないが、イメージセンサー自体は新しくなっているようだ。しかも見た目で明かなとおり、レンズ部がでかい。

 公表されたイベントの映像から分かるのは、従来通りの裏面照射型センサーで、Focus Pixels(いわゆる、像面位相差センサー)を使った高速AF搭載、画素が大きくなり、60%速くて、30%以上効率がよくなったということ。

 イメージセンサーが速くなったというのは、データの高速読み出しが可能になったということで、動きの速いものを撮ったときの歪みが少なくなる、超高速連写が可能になるなどのメリットがある。下手に画素数が増えるよりありがたい話だ。

 レンズは大幅に進化。従来のF2.2からF1.8に明るくなった。

 このF値は小さければ小さいほど多くの光を通す、つまり“明るい”レンズだと思っていい。iPhone 6sはF2.2。ソニーモバイルコミュニケーションズの「Xperia X Performance」がF2.0、Huawei Technologiesの「HUAWEI P9」もF2.0、シャープの「AQUOS ZETA」がF1.9、Samsungの「Galaxy S7 edge」がF1.7である。F1.8より明るいのはGalaxy S7 edgeだけだ。レンズのF値がF2.0からF1.4になると、明るさは2倍になる(ルート2ずつ上がっていく)ので、F2.2とF1.8では1.666倍の差。F2.2でシャッタースピードが1/60秒になる環境だと、F1.8なら1/100秒で撮れる。そのくらいの差だ。

 焦点距離は公開されてないが、おそらくは35mmフィルム換算で28mm相当くらいだろう。しかも、今まではPlusにしか搭載されていなかった、光学手ブレ補正が付いた。これの威力は絶大だ。

 iPhone 6sでは、暗い場所で写真を撮る際にISO感度を上げて対応していたが、iPhone 7ではこの光学式手ブレ補正によって、ISO感度を上げずシャッタースピードを落として対応するようになり、暗所で撮る写真のクオリティは確実に上がる。素晴らしい。

 レンズ横のライトは、デュアルLEDから4並んだクアッドLEDになり、50%明るくなった。

 画質も上がった。

 発表では、体と顔の自動検出→露出の決定→フォーカス→ホワイトバランス→ワイドカラーキャプチャ→第4世代のトーンマッピング→ノイズリダクション→画像合成と、「全部で1000億の処理を25ミリ秒でこなしている」と話していた。

※100 billionを当初10億と記載していましたが1000億の誤りでした。おわびして訂正します(9/9 18:35)

 ここでAppleが何を言いたかったかというと、iPhone 7の新しいチップ「A10」には専用のISP(イメージ・シグナル・プロセッサ)が内蔵されてて、画像処理がすごいんだぜ、ということである。

 デジカメ風にいうと専用の「画像処理エンジン」を搭載しており、より高度な画像処理を行える、ということだ。実はこれがすごく大事なことなのである。

 撮れる写真そのものも、色域が広くなり、発色もきれいになったということなので、詳しくは実機でのレビューを待て案件ではあるが、画質は期待できそうだ。

 また、ISPの処理能力を使ったRAW現像もサポートされた。

 カメラで言えばもう1つ、自撮り用として各社性能を上げているインカメラ(FaceTimeカメラ)であるが、これも500万画素から700万画素に上がった。トレンドに準じた形だ。

●iPhone 7 Plusのデュアルカメラって何?

 iPhone 7 Plusのカメラスペックは、一見iPhone 7 と同じ。1200万画素で光学式手ブレ補正付き。でも同じようなカメラが2つ並んでいる。デュアルカメラ構成なのである。

 デュアルカメラになるという噂は以前から流れていたが、その2つをどう使い分けるのかは明らかにされていなかった。

 デュアルカメラといえば思い出すのが3D……いや、これは黒歴史ということで気にしなくていいか。iPhoneより先に、デュアルカメラを搭載して登場したスマホにHUAWEI P9がある。P9のデュアルカメラは片方がカラーのセンサー、もう1つがモノクロのセンサーを搭載している。実はこれ、モノクロセンサーを使った白黒写真がすごくきれいでいいのであるが(これは余談)、両方のセンサーを使うときは、モノクロセンサーでエッジを細かく検出して写真の解像感を上げたり、エッジを検出して背景をぼかす機能に使ったりしているのである。

 ではAppleはiPhone 7 Plusでどうしたか。

 片方をiPhone 7と同じF1.8のレンズをつけた広角カメラに。もう片方は望遠(広角側の2倍の焦点距離を持つ)レンズにしたのである。望遠側の焦点距離は35mmフィルム換算で56mm相当くらい。F値はF2.8だ。

 広角と望遠のデュアルレンズなのである。

 これにより、望遠に強くなった。望遠側を5倍のデジタルズームで撮れば、広角側から見れば10倍のデジタルズームということになる。望遠側をベースにデジタルズームをかければ、当然その分きれいに撮れる。

 これはちょっと驚いた。

●iPhone 7 Plusは背景ぼかし機能も搭載

 最後にSneak Peekネタを。イベントでは、後日ソフトウェアアップデートで提供予定という、背景をボカす技術を披露した。

 ポートレート写真の背景のBokeh(これ、日本語の「ボケ」がそのまま英語になったものだ)を2つのカメラを利用して作ろうという「Depth Effect」だ。

 カメラアプリに新しく用意される「ポートレート」モードにすると、自動的に「Depth Effect」がかかるという。Depthは日本語でいう「被写界深度」。フォーカスの合う範囲(これを「深さ」といってる)を示す言葉だ。

 この処理は何をやっているのか。

 話の内容から推測するに、まずカメラが自動的に望遠側になる。そして2つのカメラで同時に撮影する。広角側はおそらく望遠側と同じ画角を切り出している。そしてISPを使って両方の画像を比較し、人物はよりはっきりと、背景はきれいにぼかすという処理をかけているのである。それがリアルタイムでプレビューできる。

 センサーサイズの大きな一眼レフカメラのように、背景がボケた写真を撮りたいというニーズは昔からあり、「背景ぼかし機能」自体は新しくもなんともなく、すでに多くのコンデジやスマートフォンに搭載されている。ただ、機種によって差があるけれども、多くはそれほどうまくいってない。前景と背景のエッジが不自然にぼやけたり(特に髪の毛と背景の区別がうまくない)、同じような距離にあるはずのものがぼけたりぼけなかったり、徐々にぼけていく感じが出なかったりと、不自然な結果になりがちなのだ。比較的よい結果だったのが、デュアルカメラを使ったHUAWEI P9。

 Appleのこの新しいデュアルカメラを使った技が、他社のものに比べてどんなクオリティになるのか、iPhoneのこの機能は人物専用になりそうだが、詳しくは実写レビューに乞うご期待である。この機能は年内に登場するそうな。

 まとめると、iPhone 7とiPhone 7 Plusは、ともに新開発の1200万画素センサーで、レンズはF1.8でどっちも光学式手ブレ補正搭載、インカメラは700万画素相当に。画像処理専用の回路を搭載したことで全体のクオリティが上がった。

 iPhone 7 Plusは広角と望遠のデュアルカメラになり、それを利用した撮影機能も用意されるよ、ということである。

 これはとにかく早く実機に触れてみたいのである。

最終更新:9月9日(金)18時42分

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