ここから本文です

実は空前のブーム 韓国女子ゴルフ界の恐るべき“世界戦略”

日刊ゲンダイDIGITAL 9月9日(金)9時26分配信

 日本ではほとんど報道されなかったが、韓国で先週開催された女子大会「ハンファ・ファイナンスクラシック」(忠清南道=ゴールデンベイゴルフ&リゾート)に、藤本麻子(26)と大江香織(26)の2選手が推薦枠で出場した。

 日本ツアーに韓国人プロが大挙して押し寄せているのは、今では当然のことだが、韓国ツアーに日本人選手が出場するのは珍しい。主催者のハンファがこう説明する。

「日本ツアーでは韓国人選手が大活躍していますが、同時に韓国でも日本人に活躍してもらいたいのです。韓国から日本に行くだけでなく、日本から韓国に来て韓国人選手の強さや練習ぶりを見てもらい、その経験を通じて日本と韓国の交流を深めてもらいたいのです」

 大会の優勝賞金約2700万円は、日本ツアー最高額の日本女子オープン(2800万円)と大差はない。勝ったのは、世界ランク12位で韓国ツアー賞金女王争いトップのパク・ソンヒョン(22)。通算6アンダーで今季7勝目を挙げた。一方、藤本は10オーバーで43位、大江は予選落ちだった。

 藤本が日本から連れていったキャディーは「韓国の試合会場は難しいコースでピン位置も厳しかったですね。これを日本でやったら、選手から文句が出てきますよ。韓国でプレーして、韓国人選手がなぜ強いのかが分かった気がします」とお手上げ状態だった。

 この大会には藤本、大江だけでなく、米ツアーから世界ランク4位のL・トンプソン(21)、同22位の野村敏京(23)、同25位のJ・コルダ(23)も招待出場している。全員“アゴ足付き”だった。

 韓国のゴルフ事情に詳しいジャーナリストの太刀川正樹氏がこう言う。

「米ツアーでの韓国人選手の活躍は広く知られていても、韓国ツアーの実態は世界であまり知られていません。韓国国内にもまだまだ力のある選手がいて、韓国ツアーのレベルの高さをアピールしたいのです。世界のトッププロが韓国内の大会に出場すれば、大会の格が上がり、韓国の女子プロたちのモチベーションも高まり、そこで勝てば自信にもつながります。韓国人選手は相手がどんなに強くても、決してひるむことはありません。むしろ闘争心に火がつく。なぜなら『韓国で1位になれば、世界で1位になれる』と皆、口にしているからです」

 韓国ツアーは数年前まで年間十数試合しかなかったが、今では年間33試合もあり、空前の女子ゴルフブームだ。ただ、イ・ボミ(28)やキム・ハヌル(27)のように、韓国で賞金女王になって日本ツアーに主戦場を移す選手が絶えず、朴仁妃(28)、キム・セヨン(23)、チョン・インジ(22)ら実力プロは米ツアーで戦っている。韓国内の選手が見劣りするのは、韓国女子プロゴルフ協会(KLPGA)にとってもマズいのだ。

「海外のトップレベルの選手が出場し、韓国ツアーのレベルが上がれば韓国人プロの流出防止にもつながります。KLPGAには米ツアー、日本ツアーと同じレベルに引き上げたいとの狙いもあり、韓国内で試合を充実させることは、スポンサー対策でもあるわけです」(前出の太刀川氏)

 韓国内ではすでに次世代を担う若手が次々と育っており、中国やタイのゴルフ協会とも提携し、グローバル化も進めている。

 116年ぶりに復活したリオ五輪・女子ゴルフ競技では、朴仁妃が金メダルを獲得し、日本ツアーでは韓国人プロがブッ千切りの強さを見せる。そして国内の大会を充実させて、韓国が近い将来、名実ともに世界女子ゴルフ界のリーダーとして躍り出ることは間違いない。

最終更新:9月9日(金)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL