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だから日本人はiPhoneを握りしめる、4つの理由

ITmedia ビジネスオンライン 9月9日(金)7時45分配信

 スマートフォンの種類といえば「iPhoneとその他の機種」と答える人が多いのではないだろうか。その他とはサムスン製のGalaxy、ソニー製のXperia、富士通のarrowsといったAndroid OSを搭載した「Androidスマートフォン」だ。

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 iPhone 7/Plusが発表されたので、多くの人が「早く欲しい」「新機能を使ってみたい」と思っているだろうが、そもそもなぜ日本人はiPhoneが好きなのか。世界に目を向けると、多くの日本人が“iPhone党”であることがよく分かる。

●他国と比べると日本人はiPhone好き

 結論から言うと、世界的にユーザー数が多いのは、Android OSを採用したスマートフォン群だ。日本の現状から考えるとにわかに信じられないだろうが、現在グローバル市場で圧倒的なシェアを誇るのはAndroid OSを搭載したスマートフォンのほうなのだ。

 調査会社MM総研が2016年5月に発表した「2015年度通期国内携帯電話端末出荷概況」を見ると、2015年度通期のスマートフォン出荷台数は前年度比2.9%増の2916.5万台。メーカー別出荷台数シェア1位はiPhoneのAppleでシェアは41.9%。2012年度以降4年連続1位と圧倒的な人気だ。次いで2位がソニー、3位シャープ、4位京セラ、5位に富士通と続いている。

 ところが、このスマートフォンのシェアをグローバル視点で見ると話は変わる。調査会社Gartnerによると、スマートフォンの総売上台数は約3億4400万台(2016年第2四半期)。OS別シェアを見ると、Androidが全体の86.2%、iOSが12.9%となっている。iOSを搭載したスマートフォンはAppleのiPhoneだけなので、12.9%というのはそのままiPhoneの世界シェアと考えていいだろう。

●途上国で普及するAndroidスマートフォン

 なぜこれほど世界シェアと日本シェアに違いがあるのだろうか。まず世界シェアでAndroidスマートフォンが強い理由から考えていこう。

 iPhoneはiOSを搭載したApple独自の機種だ。2016年8月20日現在、正規に購入できる機種はiPhone 5s、iPhone 6、iPhone 6 Plus、iPhone 6s、iPhone 6s Plus、iPhone SEに限られる(地域やキャリアによっては販売されていない機種もある)。さらに新機種iPhone 7/Plusがここに加わる。対してAndroid OSを採用しているスマートフォンは全世界で数多くのメーカーから多数の機種が発売されている。サムスン、ソニー、富士通、シャープ、京セラ、HTC、ZTE、Huaweiなど国内外の数多くのメーカーの機種がそろえられており、バリエーション数でAndroidは圧倒的な商品ラインアップとなる。

 さらにグローバル市場とひとくくりに言っても、日本のような先進国だけではない。Androidスマートフォンは、そのラインアップの豊富さから途上国で好まれる低価格なロースペック機種も多数存在する。例えばインドでは、「Freedom 251」という251ルピー(約380円)のAndroidスマートフォンも存在している。多くの低所得者層は高額なiPhoneではなく、いわゆる“格安スマホ”を購入するのだ。

 それでは、逆にiPhoneがシェアを持つ地域は先進国だけなのだろうか。世界のモバイルOSシェア比較サイト「Kantar Worldpanel ComTech」でiPhoneのシェアを見ると、日本は50.3%世界でトップだ。次いでオーストラリア41.2%、米国39.1%、英国38.6%、中国の25.0%と続く。日本は世界有数のiPhoneの一人勝ちといった状況だ。とはいえ、先進国ではiPhoneが好まれる傾向であるというのは、間違はなさそうである。

●日本人がiPhoneを好む理由

 なぜiPhoneは日本人に人気なのだろうか。個人的に、4つの理由があると考えている。

 1つ目の理由は、初期のAndroidスマートフォンの不具合や動作の遅さなどが原因で、買い替え時にiPhoneにシェアが流れたと言われている。特にそれは国産製品を好んでいた層の失望となった。現在ではAndroidスマートフォンも成熟し、不具合などはほとんど起きないが、以前のマイナスイメージに今も引きづられていると言っていいだろう。

 2つ目はiPhoneのブランド力だ。一説には「世界のブランド品の40%を購入している」と言われているほど、日本人はブランド志向だ。明治以来の西洋化思想の延長上にある西洋崇拝も、日本人がブランドを好む要因の1つだという。また、日本人の国民性の1つに「横並び感覚」があり、「多くの人が愛用するモノを自分も所有し帰属したい」という感覚が強いという説もある。

 Apple製品の特徴は入念なデザインで、それはパッケージからユーザーインタフェースにまで至る。その洗練されたデザイン性がiPhoneのブランドイメージを確立し、日本人のブランド志向にマッチしたということなのだろう。

 3つ目の理由は日本での販売価格だ。日本では最初にiPhoneの販売に着手したソフトバンクが、販売2年目から実質価格0円で販売した。その後に取り扱いを始めたKDDIやNTTドコモもそれに追随し、実質的にiPhoneは世界的に見ても安い価格で販売を続けた(現在は解消されている)。その結果、iPhoneはユーザーの裾野を広げたといえるのだ。

●「嫌韓」に苦しむライバル。そしてiPhone 7/Plus登場

 そして4つ目が、グローバルのライバルが日本では受け入れられにくいことだ。グローバル市場でiPhoneのライバルといえばサムスンのAndroidスマートフォン「Galaxy」シリーズだ。実際、米ストラテジー・アナリティクス(Strategy Analytics)が行った調査によると(2012年、メーカー別シェア)、サムスンが30.4%で1位、2位がAppleの19.4%となっていた。ところが、2010年代から顕著になった「嫌韓」の影響もあってか、日本市場でも10%を超えていたサムスンのシェアは2014年には4.7%(IDCジャパン調べ)まで下落し苦戦している。

 さらに近年、グローバル市場で急激にシェアを伸ばすHuawei、ZTEといった企業も日本国内でブレイクには至っていない。これからだという見方もあるが、このほかにも勢いのある中華系の振興メーカーのほかに、Oppoや小米(シャオミ)などが参入していないこともiPhoneにとって好材料になっている。

 このほかにもさまざまな要因を多くのジャーナリストや有識者があげているが、それはほぼ間違いでないだろう。多くの要因が重なり、日本は世界的にも有数のiPhone王国になったのだ。

 ただ、データが示す通り「Androidスマートフォンが世界のスタンダードになりつつあるが、日本ではiPhoneが普及している」のが現状だ。だが、近年「格安スマホ」と言われるMVNOとSIMフリーAndroidスマートフォンの登場や、総務省が携帯キャリアに向けた「実質ゼロ円」販売を禁止する指針によって、徐々にiPhoneもシェアが縮小している。

 そんな中、9月8日早朝、いよいよiPhone 7/Plusが発表された。16日から販売される今回のiPhoneでAppleは防水防塵、おサイフケータイ対応(FeliCa対応/Suica利用可能)、デュアルレンズカメラ(7 Plusのみ)と、Androidスマートフォンのメリットを盛り込んできた。搭載されていないのは赤外線とワンセグ(フルセグ)機能くらいなので、他メーカーのアドバンテージはほぼないと言っていいだろう。

 今後はどうか? ブランド力に加えて、FeliCa機能などを搭載したとなれば、これからも多くの日本人がiPhoneを握りしめているはずだ。

最終更新:9月10日(土)0時17分

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