ここから本文です

<リオパラ>「義足で世界一」へ 静岡県勢が開発 陸上

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月9日(金)17時6分配信

 8日(日本時間9日)に行われたリオデジャネイロ・パラリンピックの陸上男子100メートル(切断などT44)。佐藤圭太選手(トヨタ自動車、藤枝市出身)は予選敗退したが、自己新の11秒77をマークした。佐藤選手の義足を開発したのが、沼津市出身の遠藤謙さん(38)が社長を務めるベンチャー企業の「サイボーグ」(東京)。ロンドン大会出場の春田純選手(ウオーターワークス、静岡市清水区)も開発に携わった。「(佐藤選手が)この舞台で自己新を出せた。義足に世界との差はない」と春田選手。遠藤さんが語る「義足で世界一速く走る」という夢へ、第一歩を踏み出した。

 レース後、春田選手は佐藤選手から無料通信アプリLINE(ライン)で連絡を受けた。「スタートの前傾姿勢がうまくいかず、加速するために硬くなった」という振り返る佐藤選手の言葉に、春田選手は「選手の技術面、義足とも改良の余地がある」と可能性を実感した。

 開発チームは陸上や義足の素材、データ解析の専門家が集結し、元陸上五輪選手の為末大さんも参加。地面を蹴った反動が体の中心にまっすぐに伝わり、速度が上がる余地が生まれる構造を考えた。リーダーを務める遠藤さんを突き動かしているのは片足を切断した後輩への思いだ。幼少期からものづくりが好きで、大学院で人型ロボットの研究を始めた。だが、高校で親しかった後輩が、骨肉腫で片足を切断したことを知った。「自分の研究は社会に役立つのか」と疑問が生まれた。

 無意識に複雑な動きをする筋肉をロボットで再現できるか。「ロボットでは人の体の代わりにはならない」と悩んでいたとき、マサチューセッツ工科大(MIT)のヒュー・ハー教授の言葉に感銘を受けた。「技術で障害はなくせる」。ハー教授は両足とも義足だが登山家でもある。遠藤さんは博士課程を中退し、米国で義足の研究にのめり込んだ。

 「人間の体には素晴らしい能力がある。障害があっても最新技術と組み合わせれば、さらに向上できる」。遠藤さんは力を込める。「東京五輪では義足のアスリートが健常者より速く走る姿を見たい」

静岡新聞社

最終更新:9月9日(金)18時1分

@S[アットエス] by 静岡新聞