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アングル:動き鈍い海外勢、米早期利上げなら日本株売りも

ロイター 9月9日(金)14時32分配信

[東京 9日 ロイター] - 日経平均<.N225>が1万7000円付近で停滞している。上値を買う投資主体として期待される海外投資家の動きが鈍いためだ。公的セクターの買い支えにより日本株の需給は悪くないが、米国が早期利上げに踏み切るとグローバルマネーのリスク選好度が低下し、円安効果を打ち消す海外勢の売りが出ることも懸念される。

海外投資家の日本株に対するスタンスは足元ではっきりしない状況が続いている。今年1―3月には原油安に伴う中東産油国の財政悪化から現物・先物合算で5兆円を超す売り越しを記録したが、4―8月の5カ月間はトータルで4000億円強の売り越しだった。月間にならせば800億円強の売り越しであり、日銀が年間6兆円のETF(上場投信)買いを表明していることを考えれば、最近数カ月間は日本株にほとんどインパクトを与える投資家ではなかったことになる。

最大の要因は米金融政策の不透明感だ。日本企業の業績悪化や日銀のETF(上場投信)買いによる市場の歪みなども指摘されるが、「米系投資家にすれば自国の金融政策が見通せない中で、国外の投資を積極化させることは考えにくい」(カブドットコム証券投資ストラテジストの河合達憲氏)という。主役の不在により東証1部の売買代金も2兆円割れの日が多く、商いは盛り上がりに欠ける。

年初からのパフォーマンスをみると、8日時点での上昇率は米ダウ<.DJI>、ドル建て日経平均はともに7%台ときっ抗している。みずほ証券シニアテクニカルアナリストの三浦豊氏は「米国株は高値圏でのこう着が続き、新たな上昇トレンド入りは難しい。仮に米国株が調整すると、世界的なエクイティのポジションを落とす売りに日本株も押されそうだ。日本株にとっても米金融政策が重要なポイントになってくる」と指摘している。

かねて米国には2つのリスク要因があると言われてきたが、そのうちの1つである米大統領選に関しては、民主党候補ヒラリー・クリントン氏の優位が鮮明になり、米国の政治面での懸念は後退した。だが、もう1つのリスク要因である米金融政策の行方は引き続き読みにくい。直近の経済指標が予想を下回り、9月利上げの見方は少なくなったが、年内の利上げ観測は消えていない。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの折見世記氏は「米国が年内利上げに踏み切り、ドル高/円安に振れたとしても海外投資家が日本企業の収益改善を見込んで日本株を買うとは思えない」という。利上げできるほど米景気が拡大するのであれば、日本企業も恩恵を受けるが、実際には利上げが景気に悪影響を与えるとの読みだ。

「(アトランタ連銀が公表している)『影のFFレート』が上昇し、直近のFRB(米連邦準備理事会)の調査では、商工ローンなどの貸出態度が厳格化している。この状況で利上げを行えば、ITバブル崩壊時のようにタイムラグを経て世界的な株安につながりかねない」と折見氏は話す。海外勢の日本株投資を促すには米利上げ回避と米景気拡大の両立という極めてハードルの高いものとなりそうだ。

(河口浩一 編集:伊賀大記)

最終更新:9月9日(金)19時19分

ロイター