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甲状腺がん、線量関連なし 福島医大、震災後4年間の有病率分析

福島民友新聞 9月9日(金)8時49分配信

 福島医大の大平哲也疫学講座教授らの研究チームは8日、県民健康調査の1回目の甲状腺検査を2015(平成27)年6月までに受けた人の結果などを基に、外部被ばく線量の異なる3地域で小児甲状腺がんの見つかる割合を比べた結果、地域による違いは見られなかったとする調査結果を公表した。

 福島医大は、震災後4年間の検査では外部被ばく線量と甲状腺がんの発見に関連が見られないことから、今後も追跡調査を続ける方針だ。

 論文は国際的な医学学術誌「メディスン」の電子版に掲載された。研究チームは11年10月~15年6月に県民健康調査の甲状腺検査を受診した18歳以下の男女30万476人を調査。県内を〈1〉外部被ばく線量が5ミリシーベルト以上の人が1%以上いる地域〈2〉同1ミリシーベルト以下の人が99.9%以上の地域〈3〉それ以外の地域―の3グループに分け、外部被ばく線量と甲状腺がんの関連を分析した。

 最も線量が高い〈1〉のグループの甲状腺がんが見つかる割合(有病率)の値は10万人当たり48で、最も線量の低い〈2〉は同41、中間に当たる〈3〉は同36となり、線量との有意な関連性は見られなかった。また、世界保健機関(WHO)が内部被ばく線量の推計も含めて分類した地域の比較でも、大きな差は認められなかった。

 結果について県民健康調査検討委員会の星北斗座長は、福島民友新聞社の取材に「放射線の影響が見られないことを裏付ける一つの報告として、冷静に受け止めたい」と述べた。

 調査に当たった大平教授は「これまでも地域ごとの比較は行われていたが、被ばく線量による比較でも地域や個人差が見られなかったことに意義がある。今回の調査は最初の4年間に限ったものなので、今後も地域や個人の線量で甲状腺がんの発症に違いがないかどうかを調査していく必要がある」と述べた。

福島民友新聞

最終更新:9月10日(土)14時40分

福島民友新聞