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「ロコモ」登場10年、予防対策じわり浸透-専門医「運動習慣が重要」

日刊工業新聞電子版 9/9(金) 13:21配信

「小学生からの運動習慣が影響」若年層の理解不可欠

 「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」対策がじわりと広がりつつある。日本整形外科学会がロコモ対策の重要性を呼びかけ、運動機能テストや実態調査を実施しているほか、地方自治体でも高齢者を対象にしたロコモ健診が開かれている。ロコモが概念として登場して約10年。対策の徹底にはさらなる浸透が不可欠だ。(編集委員・村上毅)

 「自動車で例えるとエンジンやタイヤ。どのパーツが壊れても上手に動かない」。日本整形外科学会の丸毛啓史理事長は、下肢筋肉・骨などの運動器の重要性をこう表現する。

【移動能力衰退】

 年齢が進むと腰痛や手足の関節痛など運動器障害が高い頻度で出てくる。国の要支援・要介護認定の要因でも運動器障害が最も多い。運動器の疾患が移動能力の衰えとなり、進行すれば要支援・要介護のリスクも高まる。

【運動習慣重要】

 運動機能の維持に向け、同学会は「ロコモ度テスト」の普及に力を注ぐ。「片足で高さ40センチメートルの台から立ち上がれる」などの評価項目で、ロコモを判定する。石橋英明広報・渉外委員会委員長(伊奈病院整形外科部長)も「運動器の変化に早めに気付き、運動習慣をつけることが重要」と説明する。日本は平均寿命、健康寿命ともに世界最長で、2025年には高齢者の中でも75歳以上が多くなる見通し。対策は待ったなしだ。

【認知度道半ば】

 政府も健康増進の基本方針「健康日本21」で、ロコモ認知度の目標を「22年に80%」と掲げた。だが現在は47.3%にすぎず、目標達成は道半ばだ。この結果に対し、丸毛理事長は「若年層の理解不足が問題」と指摘する。「ロコモ=高齢者」となりがちだが、石橋委員長も「小学生からの運動習慣が骨量・筋量に影響する」と説明する。学校などでの健診・教育が、ロコモ対策の裾野拡大に不可欠だろう。

アンチロコモ教室、運動指導・筋力測定を実施

 「もう少しです。頑張ってください」。神奈川県大磯町で開かれた介護予防事業「おおいそアンチロコモ教室」。今年で3年目を迎え、ロコモ検診では参加者に向けて元気なかけ声が飛んだ。同事業は下肢に特化した運動指導・筋力測定を実施し、大磯町民の健康寿命の延伸につなげる。東海大学、アルケア(東京都墨田区、鈴木輝重社長)との連携事業だ。

 事業の加速に欠かせないのが「成果の見える化」だ。東海大学が中心となり、医療費の伸び抑制などの検証も進めている。東海大の中村豊教授も「健康になることで医療費の削減だけでなく、外出や旅行など人生にも張りが出る」といい、“副次的効果”にも期待している。

最終更新:9/9(金) 13:29

日刊工業新聞電子版