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沿線首長ら「到底無理な金額」 日高線維持へJR提案

苫小牧民報 9月9日(金)15時58分配信

 新冠町役場で8日に開かれたJR日高線沿線自治体協議会の第5回会合で、JR北海道が提示した日高線維持の方策に対し沿線各町から反対や困惑の声が広がっている。高波被災で昨年1月から不通となっている路線の復旧後、維持に必要な年間費13・4億円を地元自治体で負担するか、車両や鉄道施設などの保有や管理を地元で受け持つ「上下分離方式」の二者択一の内容だが、いずれも地元自治体にとって重く、厳しい内容。JRが運行維持費とは別に試算した復旧費38億円は、8月の台風被災でさらに膨らむ見通しで、運行再開への道のりに不透明感が増している。

 「自治体での負担は非常に困難な金額だ」。協議会の会合終了後、取材に応じた日高町村会長の小竹国昭・新冠町長は困惑の表情で語った。

 JRは会合で、災害復旧後の単年度赤字額11・1億円、防災・老朽対策費5・3億円の計16・4億円のうち、JRは3億円、地元負担は13・4億円とする内容を提示。別の案として、列車の運行はJR、鉄道施設や車両などの保有と維持管理は地元自治体が行う上下分離方式を示した。

 いずれの方策も、JR側の年間負担額は列車運行費の約3億円のみ。会合に出席した道総合政策部の黒田敏之交通政策局長は、会合後の取材に対し「道は財政支援を考えていない」と述べた。

 地元の負担額13・4億円を単純に日高管内の沿線自治体7町で割ると、1町当たり約2億円となる計算。池田拓・浦河町長は「町の政策予算が10億円弱という状況の中で、年間2億円の費用負担など到底できるものではない」と語気を強めた。

 上下分離方式についても、自治体側の負担額はほぼ変わらず、首長らは反発。坂下一幸・様似町長は「現在の路線では再び被災する恐れもあるため、別の路線を新たに造る必要がある。土地の購入費や工事費などを考えれば自治体の持ち出しはさらに膨らむ」と指摘し、上下分離に反対の声を上げる。

 酒井芳秀・新ひだか町長は「自治体だけで負担できる内容ではない」とし、「8月の台風で被災した道内の各赤字路線も、同様に地元負担が求められるようになるかもしれない」と心配する。三輪茂・日高町長は「日高線沿線自治体の判断は、他線区の沿線自治体にも影響が及ぶ可能性もある。簡単に結論は出せないが、町として方向性を決めたい」と話している。

 JRの提案に対し各町は町議会などで協議し、それぞれ一定の方向性を示す考え。各首長から「道民の公共交通を守るため、国や道が財政支援を」「苫小牧市など胆振の沿線自治体も協議に参加すべき」との声も上がっている。

 日高線は昨年1月の高波被害により、鵡川―様似間(116キロ)で不通が続いている。JRは、運行再開には年間16・4億円の費用とは別に、線路復旧費として約38億円掛かるとしていたが、今回の台風被害による復旧費の見通しは立っていない。

最終更新:9月9日(金)15時58分

苫小牧民報