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夫に異変「死んだ方が」 介護の妻・殺害事件 佐賀・鹿島

佐賀新聞 9/9(金) 11:11配信

帰郷後、1週間の事件

 体が不自由な妻(71)の首を絞めて殺害したとして、殺人の疑いで逮捕された佐賀県鹿島市の夫(69)は20年以上にわたって介護をしてきた。新しい環境で再出発しようと、大阪から郷里に戻ってきてわずか1週間後の事件に、サポートしてきた関係者は驚きを隠せなかった。

車いすで散歩姿も

 介護が始まったのは、鹿島市高津原で夫婦2人で暮らしていた1995年。妻が自転車事故で脊椎を損傷し、下半身が不自由になった。当時、近所に住んでいた女性は「車いすを押して散歩したり、一緒に車で出掛けたり。優しい人で、奥さんをとても大事にしていたのに」と驚く。

バリアフリーの計画中

 夫は、親戚が近くにいる鹿島市の中古住宅を買い、引っ越し前の8月上旬から市福祉事務所に相談を始めた。電動車いすの妻が暮らしやすいように自宅改修の計画を進め、今月1日にはケアマネジャーや市職員らとケアの方針などを話し合った。新たな環境での介護生活は、順調のように見えた。

今月5日、夫に異変

 「もう死んだ方がまし」「死に場所を探さないかん」。関係者が夫に異変を感じたのは今月5日。自宅での話し合いを終えた帰り際、夫が疲れた表情で話したという。

6日にはカウンセリングも

 関係者によると、妻は大阪で施設を何度か変わった。今月2日から利用していたショートステイにもなじめなかった。夫自身も3日、クリークに落ちてけがをした。負担が重なり、6日は親戚に連れられて、市外の病院でカウンセリングを受けていたという。

理想との乖離か

 自宅は広く、近くにはスーパーもある。福祉関係者は「思い描いていた生活があったのでは」と話し、うまくいかないことが重なった夫の心情を推し量った。

 鹿島市では14年前、「老老介護」の末に80代の夫が妻を手に掛けた承諾殺人事件があった。その後、自治体には地域包括支援センターができ、介護保険サービスも充実した。市福祉事務所の職員は「サポート態勢は整ってきたのに」とやるせない表情を浮かべた。(取材班)

最終更新:9/9(金) 11:11

佐賀新聞