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もう泣かない----デル ポトロの進撃にワウリンカが終止符を打つ [全米テニス]

THE TENNIS DAILY 9/9(金) 8:30配信

 アメリカ・ニューヨークで開催されている 「全米オープン」(8月29日~9月11日/ハードコート)の男子シングルス準々決勝で、第3シードのスタン・ワウリンカ (スイス)が2009年全米覇者のフアン マルティン・デル ポトロ(アルゼンチン)を7-6(5) 4-6 6-3 6-2で下し、準決勝に駒を進めた。

ワウリンカが2009年覇者のデル ポトロを破り、錦織との準決勝へ [全米オープン]

 デルポトロの“魔法の月”は、始まったときと同じように終わった。大きなアルゼンチン人はコート上で涙を流して……。

 デル ポトロは、まだ試合が続いているときに涙を拭いた。ワウリンカは、疲労困憊したデル ポトロを全米オープンの出口へといざなうため、4セットの勝利を締めくくるサービスゲームを始めようとしていたところだった。午前1時まで客席にとどまった我慢強いテニスファンたちは、愛すべき2009年全米チャンピオンのために、甘美な歌を歌った。

 アーサー・アッシュ・スタジアムの客席から「オーレ、オレ、オレ、オレ、デルポ! デルポ!」というコーラスが響く。主審はマイクで沈黙を促したが、効果はなかった。

 デル ポトロは客席を横目で見やり、頭を下げ、最終的にラケットを上げて拍手の仕草をした。それからやっと、ワウリンカが試合に幕を下ろし、2年連続の全米ベスト4入りを決めたのだった。

「試合に負けることもある。でも僕はこのことを決して忘れない」とデル ポトロは言った。「どんな試合よりも大きなことだ。観客たちは今夜、僕を本当に幸せにしてくれた。スコアがなんであれ、僕は構わない」。

 その32日前、デル ポトロはリオ五輪の1回戦を戦った。それは世界1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)との対戦だったため、彼は五輪での自分の最後の試合になるだろうと考えていたらしい。3度の手首の手術のあと、デル ポトロは世界最高峰の選手と張り合う体調を欠いていた----と彼は思っていたのだ。

 デル ポトロはその夜、ジョコビッチを倒し、そのあとにむせび泣いた。勝利は訪れ続け、涙もだった。疲労困憊したラファエル・ナダル(スペイン)に対する勝利でメダルを確実にしたとき。それから決勝でアンディ・マレー(イギリス)に敗れた骨の折れる4セットの戦いのあとにも。

 アルゼンチンに戻り、ヒーローとして歓待されたあと休む暇もなく、世界ランク142位のデル ポトロは、2013年以来の全米オープンにワイルドカード(主催者推薦)で戻っていった。彼を慕う観客たちは、キャリアを終わらせかねなかった手首の故障からカムバックした彼の努力を認め、試合毎に、大きな声援によって彼を勝利へと駆り立てた。

 午前1時20分に終わった所要時間3時間13分の準々決勝では、観客たちはまったく同じようにすることができなかった。デル ポトロはウィンブルドン2回戦でワウリンカを倒しており、序盤には、彼がまたやれるのでは、という予感もあったが、このリマッチでワウリンカは、第3セットで戦略を修正した。

 ワウリンカはデル ポトロのサービスに対して、より下がったポジションをとり始め、長いラリーで相手をサイドからサイドへと振り回した。5セットにおよんだ3回戦で、一度マッチポイントをしのがなければならなかったワウリンカだが、今、彼は、金曜日に第6シードの錦織圭(日本/日清食品)と準決勝を戦うところまでこぎつけた。

「彼は非常にアグレッシブなので、僕が常に自分がしたいような形でプレーできるような選手ではないんだ」とワウリンカは、デル ポトロについて、こう言った。

「タフであり続けることが重要だった。難しい試合になることはわかっていた。でも、自分の戦い方には満足している。第3セットで解決策を見つけたことについても、うれしく思う」

 もしデル ポトロが第1セットを取っていたなら、彼はストレートで勝つこともできていたかもしれない。第1セットでの彼は、ワンブレーク分リードしていたが、多くのミスをおかしたあとに、結局タイブレークで敗れてしまう。その瞬間、彼はフラストレーションのあまり、自分の頭にパンチを食らわせた。それは、彼がこの大会で落とした最初のセットでもあった。

 しかしその大分部で、コート上には喜びがあったはずだ。

 デル ポトロのランキングは、来週には65位に急上昇することになる。そうなれば、もはやグランドスラム大会に出場するのに、ワイルドカード(主催者推薦)は必要ない。彼は、ワウリンカのような選手に5セットマッチで食い下がることができるよう、コンディショニングに磨きをかけるためのオフシーズンを楽しみにしているという。

「今、僕はトッププレーヤーたちと同じレベルで戦っている。僕はすでに、ジョコビッチ、ラファ(ナダル)を倒しもした。マレーに対しても素晴らしい試合をした」とデル ポトロは言った。

「ワウリンカは世界3位の選手であり、僕は彼と張り合えるレベルにいた。これは僕にとって、よい意味を持つことだよ。でも、僕は努力を続ける必要がある」。(C)AP (テニスデイリー/THE TENNIS DAILY)

最終更新:9/9(金) 8:30

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