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「ラッシュ時、点字ブロック頼れない」ホームドア設置わずか7%、コスト高額 視覚障害者の転落事故

西日本新聞 9月9日(金)12時0分配信

 東京の地下鉄のホームで8月中旬、視覚障害がある男性が線路に転落して亡くなる事故があった。九州の駅に同様の危険はないのか。どうすれば事故は防げるのか。約30年、電車などで通勤している福岡点字図書館(福岡県春日市)館長の吉松政春さん(62)=北九州市八幡西区=と駅を歩いた。

 「通勤や通学のラッシュの時は、点字ブロックを頼れない」。1日約24万人が乗り降りするJR博多駅(福岡市)。鹿児島線で通勤する吉松さんは乗り換えなどで利用するが、危険を感じることは多いと話す。

 吉松さんは点字ブロックに沿って歩き、白杖(はくじょう)を肩幅に振って前方を確認しながら進む。ところがラッシュ時は電車を待つ客が点字ブロック周辺をふさいでしまい、歩けない。やむを得ず白杖で慎重に確かめながら、線路に近いホームの一番端を歩くこともあった。

視覚障害がある知人も大半が転落を経験、点字ブロックの上に柱

 線路への転落は1回、ホームと車両の隙間に挟まったことは数回ある。視覚障害がある知人も大半が転落を経験している。最も多いのは、どのホームに電車が着いたか分からず、自分が乗る電車が来たと勘違いし、電車がない所に踏み出して落ちるケース。確かに、博多駅では絶えず列車の発着音やアナウンスが響き、案内を聞き取れない。乗降ドアと車両連結部を間違えて踏み出してしまい、隙間に転落する例も目立つという。

 「九州では一般的」(吉松さん)というJRの別の駅に移動した。点字ブロックの上に柱が立っている。JR九州は「国のガイドラインに沿っている」と言うが、柱などに頻繁にぶつかるという吉松さんは「こうした危険をよけていると方向感覚を失いがち」と訴える。

周囲の声掛けが最も頼りに

 ちなみに、ホームドア設置率100%の福岡市営地下鉄では「『乗り遅れないか』『出口はどこが近いか』など、本来気になることだけを考えればいい。転落の危険がないだけで、どれほどストレスが減るか、痛感する」と吉松さん。

 東京の事故を「いつ自分が遭ってもおかしくない。周囲に人がいたはずなのに防げなかったことが悲しい」と受け止める。「声を掛けられて気分を害する視覚障害者はいない。一人一人ができることをほんのちょっと手伝ってくれるだけで、安全は何倍にもなる」。ホームドアの設置が進まない現状で、周囲の声掛けが最も頼りになる。

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最終更新:9月9日(金)15時17分

西日本新聞

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