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溶融燃料「臨界」防止へ 廃炉研究機構が対策、福岡で原子力学会

福島民友新聞 9月9日(金)11時49分配信

 福岡県久留米市で開かれている日本原子力学会「秋の大会」は2日目の8日、東京電力福島第1原発の廃炉技術に関連する発表が多く行われた。国際廃炉研究開発機構(IRID)の研究チームは、事故で溶け落ちた核燃料(デブリ)や原子炉圧力容器内に残っている燃料を取り出す作業中、新たな放射性物質の放出や作業員の被ばくにつながる「臨界」を防ぐシステムについて報告した。

 研究チームは、デブリなどを遠隔操作で取り出す将来の廃炉作業に備え、未然防止策から迅速な検知、臨界状態を速やかに解消する対策を重層的に組み合わせた「臨界管理システム」の構築を目指している。

 迅速な検知については、臨界時に一部の放射性物質がガスとして放出されることに注目。原発内の空気を常時監視し、クリプトンという放射性物質が通常の100倍を超えた場合に警報を出す仕組みを整える。

 残存燃料やデブリを直接扱う場合には、核分裂に必要な中性子を吸収してしまう物質をセメント状にしてかけることで表面を包み込み、その上で中性子を感知する測定器で異変の有無を確認しながら作業する方法の確立を目指す。

 また、未然防止策としては、あらかじめ中性子を吸収する物質を液体として原子炉圧力容器や原子炉格納容器内に流し込み、万が一にも臨界を発生させない対策が可能かどうか検討している。

 IRIDの担当者は「第1原発で再びデブリなどで臨界が発生するリスクは高くないが、備えは必要」と指摘しており、構築したシステムを来年度に政府が決定するデブリの取り出し方法に反映させる方針。

 溶け落ちたデブリを「石棺」で封じ込めたチェルノブイリ原発事故では、1990年代にデブリが再び臨界したことが分かっている。同原発では、臨界時に放出される放射性物質を検出する核反応安全性監視システムを構築している。

福島民友新聞

最終更新:9月9日(金)11時49分

福島民友新聞