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IT達人が生み出した手書きの整理術

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月9日(金)11時52分配信

 付箋を机の下に落として紛失、会議中の携帯電話をサイレンスにすることを忘れるーこれらの解決策は、身近にあるかもしれない。

 オンライン上にあふれる無数のカレンダーやToDoリスト(備忘録)作成アプリを試したものの断念してしまった人たちの間で、紙でできた普通のノートにリストを手書きで作成する「ブレット・ジャーナル」が話題を呼んでいる。大掛かりな業務プロジェクトから子どもの活動記録まで、この記録方法は全てのものを一冊のノートに整理する手助けをするのだ。

 ブレット・ジャーナルの愛用者たちは、それを日記、欲しいものリスト、ToDoリストの中間物と位置づけている。派手ではないし、技術が駆使されたものでもないが、そこがポイントなのだ。画面上の操作ではなく何かを書きとめれば、それが人々の頭に残り、整理した感覚が植え付けられるようになる。

 ジャーナルの愛用者らは、自分たちのことを「ブレット・ジャーナリスト」と呼んでいる。ジャーナリストたちはこの整理術のおかげで生産性が改善し、ストレスが減り、よく眠れるようになったと語る。また、それには心に余裕を生み出し、生活をシンプルにする効果もあるという。

 ブレット・ジャーナルを生み出したのは、ニューヨークのブルックリンに活動拠点を置くデジタルデザイナーのライダー・キャロル氏(36)だ。動画投稿サイトのユーチューブ、およびブレット・ジャーナルのウェブサイト上で利用方法の動画を閲覧した人の数は400万人に達した。ハードカバーの公式ノート「The Leuchtturm(ロイヒトトゥルム)1917」は11月に完売した。

 キャロル氏は「ブレット・ジャーナルには手間が必要だ。ただ、それ自体が投資であるため、こうした手間が極めて重要になる。それは習慣なのだ」と話す。

 キャロル氏によると、同氏はコンセプトを練るのに20年を費やし、3年前にそれを披露した。同氏は子どものころに注意欠陥障害を抱えており、集中力を高めるためにノートを取るよう指示されたが、どのように整理するかについては教わったことがなかった。同氏はニューヨーク市にあるアイディーンでリードデザイナーを務め、デジタルアプリのインターフェースを設計しているが、今やブレット・ジャーナルで本格的に自分の企業を立ち上げようとしている。

 キャロル氏は画像共有アプリのインスタグラム、音楽ストリーミングサービスのスポティファイを愛用し、他人との予定共有にグーグルカレンダー機能を使っている。同氏は「テクノロジーに反発しているわけでは決してない。そうなれば偽善者になるだろう」と話す。

 ブレット・ジャーナルは、書きとめることでアイデア、希望、約束、達成したことを一切見逃さないという原則に基づいて機能している。

 まずは気に入ったノートを購入しよう。そして、最初の数枚に「索引ページ」を作成する。そして、少し先のページにタイトルとページ番号を振り、タスクやイベントを書き込み始める。イベント項目の先頭には「○」を付け、タスクには「・」を付ける。タスクが終了すれば、「・」を「×」に変える。完了していないタスクには、次のToDoリストに移動させたことを示す「>」マークを付ける。例えば「ディナーの件でマイクに電話する」が「来週、マイクとディナーをする」に変わるなど、タスクが予定となれば「<」マークを付ける。

 このシステムでは再びノートを開いて眺め、何度もタスクを書き直すことが求められる。デジタル版のToDoリストと決定的に違うのは、このように反復が要求されることだ。「マイケルに電話する」というタスクを3回書けば、また同じことを書くのにうんざりするようになり、マイケルに電話しないことを考えるようになるかもしれない。

By NINA SOVICH

最終更新:9月9日(金)11時52分

ウォール・ストリート・ジャーナル