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駐在員なら知っておくべき「ラテン時間」

ウォール・ストリート・ジャーナル 9月9日(金)16時37分配信

 中南米(ラテンアメリカ)に暮らす駐在員にとって理解しがたい文化の一つが、約束した時刻に対する考え方の違いだ。特にアルゼンチン人は非常にのんびりとしており、厳格に時間を守ることが無礼になる場合もあるほどだ。

 先延ばしの文化は、言語表現にも見てとれる。「あした」という言葉は「あした以降のいつかで、最悪やらない」を意味すると冗談半分で言われる文化を駐在員は知らなくてはならない。アルゼンチン人の集まりでは、「例えば」とか「だいたい」、「そのあたり」という時間の決め方をする。

 誰かの自宅でのディナーに呼ばれたら、多くの場合、最低1時間遅れて到着することが期待されるし、それ以上遅刻しても十分歓迎されるだろう。

 世界の多くの地域では夕食は夜8時前後だが、アルゼンチンでは夜10時ごろ(週末はさらに遅く)に食事をする。おやつにクロワッサンやハム&チーズトーストなどの軽食をとるのはそのためだ。

 首都ブエノスアイレスで2年以上暮らしている米アトランタ出身の歌手、ジョアンナ・マドックスさんは、初めてアルゼンチンの伝統的なバーベキューに招待されたとき、指定された午後8時よりも30分早く到着した。すると、料理人に「決して時間より早く来てはいけない」と告げられたという。

 他の招待客は夜9時過ぎから順々に姿を現したが、「遅れたことへの謝罪は一言もなかった」とマドックスさんは振り返る。テラスに飲み物やつまみが出てきたのは午後9時半、最終的にディナーにありつけたのは10時半だったという。

 最近では「友人とコーヒーやランチで待ち合わせるときは、約束の時刻に1時間足せばちょうど良いことがわかった」と話す。

単に物事のやり方が違うだけ

 仕事の場面でも、アルゼンチン人は30分ほど遅れることがある。遅刻者を待ってミーティングが始まらないことは日常茶飯事だ。駐在員は前日にミーティングが予定通り行われるのか、開始時間はいつかをダブルチェックすることが望ましい。

 同国のフェルナンデス前大統領も遅刻癖で知られていた。2009年にスペインを初訪問した際には、国王が主催した晩さん会に40分遅れて到着。2008年に米ワシントンで開かれた主要20カ国・地域(G20)首脳会議では、フェルナンデス氏の遅刻のせいで公式写真が撮り直しになったこともある。

 時間感覚を理解することは、経済発展や競争力、政府機能の効率性の面で中南米がいかに西側諸国と異なるかを知るヒントにもなる。

 アルゼンチン精神分析学会のアンドレス・ラスコフスキ会長は「約束をほごにする行為や、指導者の嘘、腐敗した政治などがはびこったために、順法精神が後退し、無責任な態度やルールへの不信などが生じた」とし、「それが国民の日常生活にも波及している」と分析する。

 パリのビジネススクールINSEADの教授で「異文化理解力:相手と自分の真意がわかるビジネスパーソン必須の教養」の著者でもあるエリン・メイヤー氏は「遅刻を、敬意や礼儀に欠けるととらえるべきではない。単に物事のやり方が違うだけだ」と指摘。「それが分かったら、同じようにやってみればいい」と勧めている。

By KAMILIA LAHRICH

最終更新:9月9日(金)16時37分

ウォール・ストリート・ジャーナル

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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