ここから本文です

辺野古新基地・高江ヘリパッド中止を 有識者らが抗議声明

沖縄タイムス 9/9(金) 19:25配信

 【東京】宮本憲一大阪市立大名誉教授ら全国の著名な学者らが9日、国会内で会見し、名護市辺野古の新基地や東村高江でのヘリパッドの建設を強行する政府に対し、「沖縄の人権・自治・環境・平和を侵害する不法な強権発動を直ちに中止せよ」と抗議声明を発表した。声明には全国の学者やノーベル賞作家の大江健三郎さんら182人が賛同している。有識者らが呼び掛け人となって一般からの賛同署名を募り政府に届ける。

 声明は、復帰後も続く米兵がらみの事件事故や高江などでの機動隊による強圧的な排除を批判し「これ以上、基本的人権のじゅうりんを続けさせてはならない」と訴えた。

 さらに「沖縄の自治と自立の侵害は許されない」「貴重な自然環境を破壊してはならない」、米軍基地の強化による「沖縄、日本、アジアの平和を脅かしてはならない」と、4つの観点を指摘し、「沖縄に対する安倍政権の強権発動に強く抗議し、直ちに中止するよう求める」としている。

 会見には賛同する8人の学者が出席。宮本氏は「沖縄で起こっていることは平和、環境、人権、自治の問題で沖縄だけの問題ではない。日本人全体が政権を批判し、沖縄に平和をもたらさないといけない」と強調。先週訪ねた高江で機動隊に拘束された香山リカ立教大教授も「東京だったら大問題になることが沖縄では見逃されている。人権問題、沖縄への差別と認識し問題にするべきだ」と話した。

 宮本氏らは昨年4月にも辺野古新基地建設の即時中止を求める声明を発表し、全国から8千人以上の賛同署名を集め政府に提出。今回も10月10日までに署名を集めて政府に要請する。

 声明文や賛同署名は以下のURLから。http://goo.gl/51odu3

<有識者共同声明>

沖縄の人権・自治・環境・平和を侵害する不法な強権発動を直ちに中止せよ!  私たちは、沖縄の辺野古米軍基地建設をめぐる問題に重大な関心を寄せ、昨年(2015年)4月1日付けで「<緊急声明>辺野古米軍基地建設に向けた埋立工事の即時中止を要請する!」を公表し、全国から寄せられた8000名を超える賛同署名と併せて、同年4月27日、内閣府に直接提出した。以来、1年以上が経過しているが、その後も安倍政権は、私たちの要請を完全に無視したまま、辺野古米軍基地建設に向けた強権的な対応を取り続けている。 他方、今年6月の沖縄県議会選挙、さらには7月の参議院選挙において、辺野古米軍基地建設に強く反対する沖縄県民の総意が、再三にわたり、きわめて明確な形で示されている。とりわけ参議院選挙における沖縄選挙区では、辺野古米軍基地建設に反対する候補が大差で当選し、沖縄担当の現職大臣を落選させた。これで、衆参両院とも沖縄の選挙区選出での辺野古基地建設賛成議員は一人もいなくなった。名護市長選挙、沖縄県知事選挙の結果とも合わせ、沖縄県民の意思は、これ以上明らかにしようがないほど、明らかである。 にもかかわらず、参議院選挙の直後、安倍政権は、県外からの機動隊500人を投入して、米軍北部訓練場がある東村高江でのヘリパッド(オスプレイ着陸帯)建設工事の再開を強行し始めた。高江は人口150名ほどの小さな集落で、既設の2ヶ所を含め、6カ所ものヘリパッドに囲まれることになるため、地元では粘り強い反対運動が展開されてきたところである。すでに完成したN4というヘリパッドには頻繁にオスプレイが飛来して低空飛行が繰り返され、夜間の10時過ぎにも実施される飛行訓練によって地元住民の安眠が奪われ、暮らしが脅かされている。加えて、生活道路である県道70号の封鎖、反対運動のテント撤去、立木無許可伐採、金網設置などが矢継ぎ早に強行され、あたかも「緊急事態条項」を先取りする無法な工事が強権的に進められている。高江の工事は、辺野古基地建設と同じく、1996年の日米SACO合意での北部訓練場返還に伴い計画されたものだが、東村議会、沖縄県議会の反対決議にもかかわらず強行されたことは、「地方創生」といいながら地方自治を無視する安倍政権の尊大な態度を鮮明に表しており、辺野古工事強行への布石ともとれる。こうした態度と行為は、沖縄県民が示した明瞭な意思を無視し、それに挑戦し、侮辱するものである。およそ民主主義にもとづく法治国家にあるまじき強権発動だといわざるをえない。 私たちは、日本およびアジアの未来にかかわる重大な問題として、この間の事態を深刻に憂慮している。とりわけ、以下に述べる4つの観点から、沖縄に対する安倍政権の強権発動に強く抗議し、このような対応を直ちに中止することを求め、ここに、改めて<有識者共同声明>を公表するものである。1.これ以上、基本的人権の蹂躙を続けさせてはならない

(1)沖縄では、1972年の日本復帰以降に限っても、米軍基地関係者による刑法犯罪事件が6000件近くも多発してきた。これに追い討ちをかけるように、去る2016年5月、米軍属による残虐な女性暴行殺人事件が新たに発覚した。米軍基地の存在が、沖縄の人々の安全と基本的人権を脅かしている。翌6月19日には、那覇市内で県民大会が開かれ、6万5000人もの人々が集まり、今後、このような痛ましい事件がなおも引き起されることがないよう、強く抗議している。(2)この間、辺野古米軍基地建設反対、および、高江ヘリパッド建設反対の抗議行動を行う市民に対しても、県外から動員された機動隊員による強圧的な排除行為によって多数の怪我人が続出している。これ以上、こうした沖縄での基本的人権の乱暴な蹂躙を続けさせてはならない。2. 沖縄の自治と自立の侵害は許されない

(1)2015年10月13日、翁長沖縄県知事は、「第三者委員会」による検証結果報告書を受けて、「公有水面埋立法」にもとづく仲井真前知事による辺野古埋立承認の取消しを発表した。これは、同法および「地方自治法」にもとづく翁長県知事の当然の権限行使である。ところが、これに対し、防衛省沖縄防衛局が「私人」になりすまして「行政不服審査法」にもとづく「承認取消し」の取消しを求める審査請求、および、「承認取消し」の効力を止める執行停止の申立てを行い、国土交通大臣が即座に執行停止を決定するという異例の事態になった。その後、国と県が争う3つの訴訟と「国地方係争処理委員会」を舞台とした攻防が続いてきたが、一時的な和解・協議のあと、去る7月22日、安倍政権は、さらに翁長沖縄県知事を相手取って違法確認訴訟を起こすに至っている。この判決が9月16日に予定されているが、裁判所には、戦後憲法で保障された地方自治の本旨、および、国と地方の対等な関係と国による違法・不当な関与に対する地方の不服争訟権を明示した1999年の「地方自治法」改正の主旨を踏まえた適正な判断が求められている。(2)去る8月3日に安倍政権の第3次改造内閣が発足したが、その後の記者会見で、続投となった菅官房長官は「基地問題の進捗が沖縄関係予算に影響する」と述べ、新たに沖縄担当となった鶴保大臣もそれに同調する発言を行った。これは、いわゆる「リンク論」だが、地方自治と地域の自立的発展を保障すべき財政規律を根幹から揺るがすものである。ちなみに「沖縄振興法」では「沖縄の自主性を尊重しつつ総合的かつ計画的な振興を図る」とされており、同法の趣旨にも反する暴言である。3. 貴重な自然環境を破壊してはならない

(1)辺野古米軍基地建設に向けて埋立が進められようとしている辺野古岬・大浦湾は、沖縄県の環境保全指針で「自然環境の厳正なる保護を図る区域」(ランク1)とされ、ジュゴンをはじめ絶滅の恐れがある多様な生物種が生息する海域であり、世界自然遺産の候補にもなっている。ちなみに、すでに世界自然遺産となっている知床で確認されている生物は約4200種であるのに対し、辺野古岬・大浦湾で確認されている生物は絶滅危惧種262種を含む5800種以上である。国際自然保護連合(IUCN)は2000年ヨルダンのアンマンで開いた世界自然保護会議で、「沖縄島およびその周辺のジュゴン、ノグチゲラ、ヤンバルクイナの保全」勧告を採択している。このようなかけがえのない貴重な自然環境は後世に残すべきものであり、無謀に破壊する愚行を絶対に許すことはできない。(2)ヘリパッド建設工事が強行されている東村高江は、「やんばるの森」の一角にあり、沖縄島北部の国頭山地に広がる亜熱帯の豊かな自然環境を有している。そこには、ヤンバルクイナをはじめ、琉球列島にのみ生息し進化してきた固有種が多数見られ、独特の自然生態系が形成され、生物多様性の保全においてもきわめて重要な地域である。このような貴重な自然環境を破壊する愚行は、直ちに中止すべきである。(3)上記の埋立工事と建設工事に関する「環境アセスメント」は、きわめて杜撰な手続きにもとづく「欠陥アセス」であり、到底、正当なものとは認めがたい。本来の適正な手続きにもとづく環境アセスメントのやり直しが不可欠であり、少なくともそれ以前には、すべての工事を中止するのが当然である。4. 沖縄、日本、アジアの平和を脅かしてはならない

(1) 現在、日米安全保障条約にもとづく在日米軍基地の74%が、国土面積の0.6%にすぎない沖縄に集中している。しかも、その7割が海兵隊の基地である。なぜ、沖縄に海兵隊を集中させる必要があるのか。これまで日本政府は「抑止力」「地理的優位」「一体的運用」などを根拠に挙げてきたが、それらはいずれも説得力に欠ける。実際、2012年12月、当時の森本敏防衛大臣は、退任時の記者会見で、「(普天間の移設先は)軍事的には沖縄でなくても良い」と発言している。(2) 辺野古米軍基地建設、および、高江ヘリパッド建設は、世界一危険な普天間飛行場の代替移設や米軍北部訓練場の一部返還に伴う再編等を建前としている。だが、実態的には、沖縄での米軍基地の一層の増強と永久固定化が進みつつある。こうした在日米軍基地強化の動きは、沖縄、日本、そしてアジアにおける軍事的な緊張をさらに高め、私たちが強く求めている平和を根底から脅かすものとなる。これからの21世紀には、戦争放棄を掲げた戦後日本の平和憲法の原点に立ち返り、在日米軍基地の縮小、とくに沖縄での過重な基地負担の根本的な解消に向けた国民的な議論と合意づくりを早急に推し進め、沖縄県民の意を対してアメリカ政府と交渉していくことが求められている。2016年9月9日

<有識者共同声明>への賛同呼びかけ人(連名)(50音順)

青木克明(広島医療生協副理事長),青井未帆(学習院大学教授),姉歯曉(駒澤大学教授),東幹夫(長崎大学名誉教授),阿部治(立教大学教授),有本信昭(岐阜大学名誉教授),淡路剛久(立教大学名誉教授),碇山洋(金沢大学教授),池享(一橋大学名誉教授),池内了(名古屋大学名誉教授),池田清(神戸松蔭女子学院大学教授),石川康宏(神戸女学院大学教授),礒野弥生(東京経済大学教授),伊藤武彦(和光大学教授),稲村充則(埼玉協同病院医師),井上隆義(岩手大学名誉教授),井上博夫(岩手大学名誉教授),井上真(東京大学教授・早稲田大学教授),井原聰(東北大学名誉教授),今井晋哉(徳島大学准教授),今岡良子(大阪大学准教授),五十子満大(元東京都立大学教員),岩井浩英(鹿児島国際大学教授),岩佐和幸(高知大学教授),岩橋法雄(琉球大学名誉教授),上園昌武(島根大学教授),上間陽子(琉球大学教授),宇民正(元和歌山大学教授),内橋克人(評論家),内山昭(成美短大学長),浦田賢治(早稲田大学名誉教授),遠藤誠治(成蹊大学教授),大江健三郎(作家),大田直史(龍谷大学教授),大矢正人(長崎総合科学大学名誉教授),岡田健一郎(高知大学准教授),岡田知弘(京都大学教授),岡田正則(早稲田大学教授),岡田洋一(鹿児島国際大学准教授),岡本茂樹(医療法人おかもと小児科クリニック院長),岡本祥浩(中京大学教授),小沢隆一(東京慈恵会医科大学教授),大島堅一(立命館大学教授),大西智和(鹿児島国際大学教授),賀数清孝(琉球大学名誉教授),片山和希(名古屋経済大学准教授),勝俣誠(明治学院大学名誉教授),加藤節(成蹊大学名誉教授),紙野健二(名古屋大学教授),亀山統一(琉球大学助教),加茂利男(大阪市立大学名誉教授),香山リカ(立教大学教授),河上茂(日本科学者会議東京支部幹事),川瀬憲子(静岡大学教授),川瀬光義(京都府立大学教授),川原紀美雄(長崎県立大学名誉教授),菊地裕幸(鹿児島国際大学教授),君島東彦(立命館大学教授),草刈英榮(千葉大学名誉教授),栗田禎子(千葉大学教授),河野仁(兵庫県立大学名誉教授),古関彰一(独協大学名誉教授),小原隆治(早稲田大学教授),小林武(沖縄大学客員教授),小林芳正(京都大学名誉教授),小淵港(愛媛大学名誉教授),小堀勝充(医療生協さいたま熊谷生協病院院長),小森陽一(東京大学教授),齋藤純一(早稲田大学教授),斉藤隆仁(徳島大学教授),斎藤正美(北見工業大学教授),榊原秀訓(南山大学教授),坂本恵(福島大学教授),桜井国俊(沖縄大学名誉教授),桜田照雄(阪南大学教授),佐々木寛(新潟国際情報大学教授),佐々木雅幸(大阪市立大学名誉教授),佐藤保彦(日本科学者会議埼玉支部幹事),塩崎賢明(立命館大学教授・神戸大学名誉教授),重松公司(岩手大学教授),重森曉(大阪経済大学元学長),白藤博行(専修大学教授),菅野礼司(大阪市立大学名誉教授),鈴木勝久(横浜国立大学名誉教授),関耕平(島根大学准教授),宗川吉汪(京都工芸繊維大学名誉教授),高石光雄(埼玉協同病院院長補佐),醍醐聰(東京大学名誉教授),高作正博(関西大学教授),高塚龍之(岩手大学名誉教授),高橋哲哉(東京大学教授),高原孝生(明治学院大学教授),高山新(大阪教育大学教授),高山進(三重大学名誉教授),武井隆明(岩手大学教授),武田晃二(岩手大学名誉教授),武田真一郎(成蹊大学教授),立花敏(筑波大学准教授),田中稔(岩手大学名誉教授),谷口正厚(沖縄大学名誉教授),種倉紀昭(岩手大学名誉教授),千葉眞(国際基督教大学教授),辻忠男(埼玉協同病院部長),蔦川正義(佐賀大学名誉教授),槌田洋(元日本福祉大学教授),鶴田廣巳(関西大学教授),寺西俊一(帝京大学教授・一橋大学名誉教授),土井妙子(金沢大学教授),徳田博人(琉球大学教授),鳥畑与一(静岡大学教授),豊島耕一(佐賀大学名誉教授),長尾演雄(横浜市立大学名誉教授),中川武夫(中京大学名誉教授),中川直哉(電気通信大学名誉教授),中杉喜代司(弁護士),中西新太郎(横浜市立大学名誉教授),中野晃一(上智大学教授),中道一心(同志社大学准教授),中村寿子(阪南大学非常勤講師),中本正一朗(元地球科学技術総合推進(機構主任研究員),中山智香子(東京外国語大学教授),名嶋義直(琉球大学教授),西川潤(早稲田大学名誉教授),西谷修(立教大学教授),西山勝夫(滋賀医科大学名誉教授),野底武浩(琉球大学教授),長谷川公一(東北大学教授),原科幸彦(千葉商科大学教授・東京工業大学名誉教授),樋浦順(岩手大学名誉教授),土方直史(中央大学名誉教授),人見剛(早稲田大学教授),藤井伸生(京都華頂大学教授),保母武彦(島根大学名誉教授),本多滝夫(龍谷大学教授),前田耕治(京都工芸繊維大学教授),前田定孝(三重大学准教授),前田哲男(評論家),増澤誠一(日本科学者会議東京支部幹事),増田剛(埼玉協同病院院長),増田善信(日本科学者会議会員),松田正久(愛知教育大学前学長・名誉教授),松野周治(立命館大学名誉教授),松本滋(兵庫県立大学名誉教授),間宮陽介(京都大学名誉教授),丸山重威(ジャーナリスト・元関東学院大学教授),宮入興一(愛知大学名誉教授),三宅明正(千葉大学教授),宮﨑礼二(明海大学准教授),宮田惟史(駒澤大学准教授),宮本憲一(大阪市立大学名誉教授・滋賀大学名誉教授),三村和則(沖縄国際大学教授),三好永作(九州大学名誉教授),村上博(広島修道大学教授),村上祐(岩手大学名誉教授),森明香(高知大学助教),森原康仁(三重大学准教授),森裕之(立命館大学教授),諸富徹(京都大学教授),矢ヶ崎克馬(琉球大学名誉教授),八幡一秀(中央大学教授),山川充夫(帝京大学教授・福島大学名誉教授),山口裕之(徳島大学准教授),山崎健(新潟大学名誉教授),山下英俊(一橋大学准教授),山下竜一(北海道大学教授),山田昌樹(秩父生協病院院長),雪田慎二(埼玉協同病院副院長),除本理史(大阪市立大学教授),吉尾寛(高知大学教授),横田茂(関西大学名誉教授),横山英信(岩手大学教授),和田春樹(東京大学名誉教授),渡邉知行(成蹊大学教授)(計171名,2016年9月8日現在)

最終更新:9/9(金) 19:45

沖縄タイムス