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芭蕉の句描く絵巻物公開 10日に山中・医王寺で桃妖供養祭

北國新聞社 9/9(金) 2:54配信

 俳聖松尾芭蕉が加賀市山中温泉に逗留した際に詠んだ句のイメージを膨らませ、「金沢最後の文人」と呼ばれた俳人小松砂丘が描いた俳画の絵巻物が10日、山中温泉薬師町の真言宗医王寺で営まれる桃妖(とうよう)供養祭でお披露目される。芭蕉が目にした風物が砂丘の味わい深いタッチで表現されており、同寺では、絵巻物を通じて、俳聖と交流した桃妖(泉屋久米之助)の遺徳をしのんでほしいと考えている。

 絵巻物は長さ約4メートルにおよび、奥書から砂丘が1957(昭和32)年に描いたものと分かる。1691(元禄(げんろく)4)年発刊の「卯辰集」の収録作を引用している。

 絵巻物は「元禄二の秋翁をおくりて山中温泉に遊ぶ三両吟」の墨書の後に、芭蕉と弟子の曾良(そら)、北枝(ほくし)の3人で詠んだ36句が、上の句と下の句を交互に詠み続ける連歌形式で主につづられる。元禄2年の8月初旬に病気で親戚のいる伊勢(現・三重県)へ旅立つことになった弟子曾良への餞別(せんべつ)として詠まれたとされる。

 「馬かりて燕追行(つばめおいゆく)わかれかな」から始まる掛け合いが、砂丘ならではの軽妙洒脱な筆遣いで展開する。湯煙が上がる温泉街を俯瞰(ふかん)した景色や湯治場で暮らす遊女などが生き生きと映し出され、句作の世界観を分かりやすく伝えている。

 絵巻物は鹿野恭弘住職(82)が約2週間前に金沢市内の古道具屋で手に入れた。鹿野住職は「芭蕉が山中温泉に滞在し、桃妖と交流したことだけでなく、詠んだ歌についても知ってほしい」と話した。

 桃妖供養祭は10日午前10時からで、芭蕉祭(北國新聞社後援)の一環で営まれる。

北國新聞社

最終更新:9/9(金) 2:54

北國新聞社