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トム・フォード新作、トロント映画祭でお披露目

ぴあ映画生活 9月10日(土)18時15分配信

トム・フォードは、本物の映画監督だ。監督2作目『Nocturnal Animals』の、トロントでのプレスおよび業界向け試写上映後、会場に沸いた大拍手が、それを証明した。

トロント映画祭2016まとめ

監督デビュー作『シングルマン』から7年を経ての新作。夫との関係がぎくしゃくしているスーザン(エイミー・アダムス)のもとに、長年、音信がなかった最初の夫トニー(ジェイク・ギレンホール)から、彼が書き終えたばかりという小説の原稿が届く。最初のページには「スーザンへ」と書かれてあり、タイトルも、彼女と彼が過ごした時期のことにちなんだものだ。しかし、内容は、ライターとしての成功を目指していた当時の彼が書いていたのとは似ても似つかない、残酷なものだった。取り憑かれたように読み進めるうちに、スーザンの心は、不安に包まれていく。同時に、昔、自分が彼に対して取った行動への罪悪感にも責め立てられるのだった。

映画は、小説のストーリーと行き来しつつ展開。ギレンホールは、トニーと、小説の中の主人公の、ひとり二役を演じる。小説の部分は、スーザンを不安に陥れるというのが十分納得できる、緊張感に満ちたものだ。その結果、映画全体もスリルたっぷりになっているが、奥にあるのは、人間の心理についての物語なのだ。

スーザンがアート業界の仕事をしているという設定のため、映画の冒頭のほうではユニークで目を引く映像が登場するが、『シングルマン』もそうだったように、ファッションデザイナーが作る映画にしては、ビジュアルへのこだわりをうるさく前面に押し出してはこない。アートなんて実はどうでもいいものだ、などという、やや自虐的なせりふなどに、さりげないユーモアも見られる。ほかと違い、さらに自分の1作目とも違う新作を生み出してみせたフォードの、今後の映画監督としてのキャリアが、ますます楽しみになった。

取材・文・写真:猿渡由紀

最終更新:9月10日(土)18時15分

ぴあ映画生活

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

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昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。