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「DCコミックス」ジェフ・ジョンズが語る、『スーサイド・スクワッド』の予測不可能な魅力

cinemacafe.net 9月10日(土)13時0分配信

「僕らはフィルムメーカーたちと、素晴らしくクリエイティブな関係を築いているよ」。「DCエンターテインメント」において“チーフ・クリエイティブ・オフィサー”という肩書きを持つジェフ・ジョンズは、笑顔を浮かべながらそう話す。『バットマンvs スーパーマン ジャスティスの誕生』『スーサイド・スクワッド』において製作総指揮を務める彼は、若干43歳にして、80年にも渡る歴史を誇るDCコミックスのクリエイティブを司る、最重要人物の一人だ。

【画像】「DCコミックス」チーフ・クリエイティブ・オフィサーのジェフ・ジョンズ

シネマカフェでは、DCコミックス本社へ赴き現地取材を敢行。第1弾レポートでは、ジェフ・ジョンズのインタビューをお送りする。今後の「DCエクステンデットユニバース」の展開のキーを握る人物である彼に、『スーサイド・スクワッド』をはじめとする今後の公開作のヒントを伺った。

スーパーマンやバットマンといったアメリカン・コミックスのヒーローを擁する「DCコミックス」は、アイアンマンやキャプテン・アメリカなどのヒーローが所属する「マーベル」コミックスと共に、アメリカにおける2大コミック出版社のひとつとして知られている。「マーベル」コミックスは、2008年の『アイアンマン』の実写映画化を皮切りに、様々なスーパーヒーローたちが共通の世界観の中で活躍する「マーベル・シネマティック・ユニバース」の展開をスタートさせ、のちに公開されたスーパーヒーローチームの活躍を描く『アベンジャーズ』では驚異的な興行収入を記録。多くの観客から高い満足度と支持を獲得し、アメコミ原作による映画の大きな可能性を世界に提示した。

そして「DCコミックス」は2013年に公開された『マン・オブ・スティール』から、「DCエクステンデット・ユニバース」の展開をスタート。いよいよその第3弾となる『スーサイド・スクワッド』が公開され、来年には『ワンダーウーマン』、DCコミックスのスーパーヒーローチームが登場する『ジャスティス・リーグ』の公開が決定しており、2020年まで続々と公開作が控えている。

今回、シネマカフェのインタビューに応じてくれたジェフ・ジョンズは、2010年よりDCコミックスにおけるチーフ・クリエイティブ・オフィサーとして、今後のDCエクステンデット・ユニバースの展開において、様々な立場でコミックの映画化におけるプロセスで重要な役割を担ってる。かつては『リーサル・ウェポン』シリーズや『グーニーズ』を手掛けた映画監督リチャード・ドナーに師事した経歴を持つジェフは、のちに「DCコミックス」「マーベル」のライターとしても活動を始め、これまでに数多くのコミックス作品を手掛け、アメリカン・コミックスの発展に大いに貢献してきた人物だ。「僕はリチャード・ドナーの下で働いていたんだけど、同時にコミックを書き始めたんだ。DCコミックスに書いたものを送ったら、彼らはその1本を買い取った。それで僕は、副業で書く仕事をしようと思ったわけだよ。小さな仕事をね。それが、どんどん大きくなっていって、彼らは僕にもっと書くようにと頼んできた。最終的には、フルタイムのライターになるために、リチャード・ドナーの会社を去ったんだ」。

リチャード・ドナーといえば1978年に公開されたクリストファー・リーヴ主演の『スーパーマン』を手掛けた監督としても知られている。『スーパーマン』が大好きだったという彼は、リチャードと共に働いた4年半のことを回想する。「僕は毎日『スーパーマン』についての質問を彼に投げかけていた。どうやってやったの? どうやって彼を飛ばしたの? どうやって脚本をベストなかたちにしたの? とかね。彼と一緒に仕事が出来てとてもラッキーだったよ。子どもの頃、彼は僕の大好きな監督だったんだ。いまでも彼とは会っているよ。2週間ほど前も、僕の家に来たんだ。彼は僕のメンターであり、父親みたいな存在なんだ」。すると、控えめな笑みを浮かべながら少しだけ自慢げにジェフは付け足す。「ちなみに、幸運なことに僕はクリストファー・リーヴと一緒にランチをしたことがあるんだ。とてもクールでスペシャルな経験だよ」。

バットマンやフラッシュなど、DCコミックスのスーパーヒーローたちによって逮捕されてしまった悪役=ヴィランが、政府の指揮官の提案によって寄せ集めのチームとして活躍する姿を描いた『スーサイド・スクワッド』。いよいよ日本公開を迎える本作では、ジェフは製作総指揮として作品に関わっている。映画ではウィル・スミス演じるキャラクター、“デッドショット”がお気に入りだという彼は、ヴィランたちを中心に添えた本作の“予測不可能”な魅力について語る。「僕はずっと80年代のオリジナルの『スーサイド・スクワッド』のコミックブックが大好きだった。キャラクターたちの何がとても素晴らしいかというと、彼らが予測不可能だということだよ。彼らは悪いこともするし、良いこともする。どんな状況においても、彼らのことは予測出来ないんだ。中でもデッドショットは本当に興味深いキャラクターだよ。彼は殺し屋だけど、家族への愛があって…ただの悪いやつじゃなかった。『スーサイド・スクワッド』は、すべての悪いやつらを集めて、彼らはただの犯罪者じゃないことを提示したんだ。映画の中でキャラクターたちはとてもうまく表現されているし、役者たちによって完璧に演じられているよ」。

中でも、強力な個性を発揮するヴィランたちの“予測不可能性”の中心とも言えるのは、マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインだ。バットマンシリーズの中で圧倒的な存在感を誇るヴィラン、ジョーカーに心酔するキャラクターとして描かれる彼女を、鮮烈なビジュアルとセクシーな存在感で演じたマーゴットに、ジェフは惜しげない賛辞を送る。「マーゴット・ロビーは、完璧なハーレイ・クインだよ。彼女は、キャラクターへリスペクトを持って演じていて、まさにあのキャラクターそのものさ」。

さらに、そんなハーレイ・クインの“予測不可能性”を象徴するかのように、もととなるコミック版「スーサイド・スクワッド」のメンバーとしてハーレイ・クインが抜擢された経緯について尋ねると、ジェフ自身も把握していないという意外な答えが返ってきた。「実は、誰がハーレイをスクワッドのメンバーに入れることを決めたのかはわからないんだ。なぜ、そして誰がハーレイ・クインを『スーサイド・スクワッド』に入れることにしたのか、真実は闇の中だよ。それにしても素晴らしいアイディアだ。誰が決めたにしても、そうしてくれてよかったよ」。


映画版『スーサイド・スクワッド』は、『エンド・オブ・ウォッチ』『フューリー』などを手掛けたデヴィッド・エアーがメガホンをとっている。ロサンゼルス市警として働く警察官の日常や、戦場における兵士たちの現実など、これまでの作品における、目を背けたくなるほどのリアルな現実の中でタフに生きていかざるをえない人物を描いてきた彼の作風からすると、コミック原作の映画を手がけるのは少し意外な印象を受けるひとも多いかもしれない。彼の起用に至るまでの過程をジェフは語る。「ワーナー・ブラザース・ピクチャーズの社長のグレッグ・シルバーマンが、デヴィッドに会って、『君は『スーサイド・スクワッド』の監督にすごくいいと思う』と言ったんだ。彼らはそれについて大きなミーティングをして、デヴィッドはとても興味を持っていた。僕は彼に会って、オリジナルのコミックをたくさん渡して、それがどういうものか話し合ったんだ。彼はとても興奮していたよ。彼は軍隊にいた経歴があるから、すぐこの世界に入り込んでいったよ」。

「彼はキャラクターたちのことがとても気に入っているんだ。彼がコミックを読んだときに反応したのは、キャラクターたちがとてもグレイな存在で、オルタナティブで、典型的なスーパーヒーローとは違うことだったんだ」。デヴィッド・エアーがこれまで描いてきた登場人物は、観客に対して不快感を抱かせるような行動をとりながらも、物語が進むにつれて、彼らの人間的側面や、優しさとも呼べる表情が示され、様々な現実を生きる登場人物たちのアンビバレンスな魅力をたたえているものが多かった。ジェフが指摘するデッドショットが見せる家族への愛など、『スーサイド・スクワッド』のヴィランたちが見せる人間的な一面やその描写の奥深さは、映画作家としてのデヴィッド・エアーに本作のメガホンを取らせる大きな要因だったのかもしれない。

1999年にDCコミックスにてライターとして招かれたジェフは、これまでにも様々なコミックスの執筆に関わり、グリーンランタンやフラッシュ、アクアマン、スーパーマンなど、様々なキャラクターたちに新たな命を吹き込んできている。「DCエクステンデッド・ユニバース」において彼は、それぞれの作品における企画開発をはじめ、クリエイターたちが参考にするクラシックのコミックブックのセレクトや、キャラクター構築に関わるなど、コミックスの世界観を映画に変換する上で重要な役割を担っている。「もっとも大切なことは、キャラクターを正しいものにするということだ。なぜそのキャラクターがこれほど長く続いてきて、なぜそのキャラクターに人気があるのか。僕らは、クリエイターがアイコニックなキャラクターたちの伝説を見つける手助けをするんだよ」。

『スーサイド・スクワッド』におけるデヴィッド・エアーの起用など、映画ファンとしては今後の公開タイトルの発表と同じく、どの監督がクレジットされるのかにも注目したいところだ。ジェフは、監督決定に至るまでの“有機的”なプロセスについて説明する。「『フラッシュ』のリック・ファイムーア(『ブラウン・シュガー』『DOPE/ドープ!!』など)は、多くの監督たちと会う中で出会ったんだよ。映画に対する彼のビジョンについて聞いて、とても説得力があったんだ。『アクアマン』のジェームズ・ワン(『ソウ』『死霊館』シリーズ)は、アクアマンの熱狂的なファンで、どれほどアクアマンのことが大好きかということをスタジオのトップと話していたんだ。そして、『バットマン』のベン(・アフレック)については、もちろん、彼はバットマンを演じているからね(笑)。僕らは、僕らと同じくらいキャラクターが大好きで、本当にそのキャラクターを描きたいと思っている人を見つけるんだよ」。

「ジェームズ・ワンと僕は、いま『アクアマン』のストーリーに取りかかっていて、それを分析している段階だ。それと、ベン(・アフレック)と『バットマン』の映画の仕事をしている。ベンとは脚本を一緒に書いたんだ」。今後も続々と公開を控える「DCエクステンデッド・ユニバース」において、ますます忙しくなるであろう彼に、少しでも公開予定作についての情報をもらうべく尋ねてみると、幸いなことに、わずかではあるが『グリーン・ランタン』についてヒントを与えてくれた。「いま、企画開発をしているところだよ」と断りを入れながら、2020年に予定されているリブート作では、宇宙の平和維持軍である「グリーン・ランターン・コァ」が描かれる物語であるとコメント。「つまり、グリーンランタンが一人以上登場するということだよ。それ以上のことは言えないんだ」。

「僕は、スーパーヒーローたちが希望に満ち溢れていて、楽観的なところが大好きなんだ。彼らが表わしているポジティブな理想や、それらを称賛する希望にあふれたストーリーは、DCユニバースの重要な要素だと思うよ」。DCコミックス、マーベルを台風の目として、少なくとも2020年まではスーパーヒーローの活躍を描いた映画がますます勢いを増していくことだろう。アメリカン・コミックスの伝統を引き継ぎ、革新を生み出し続けてきたジェフは、DCコミックスの魅力としての“神話性”について語る。「僕がいつもDCのスーパーヒーローが大好きだったのは、彼らがとてもアイコニックで、神話的で、僕らが努力して目指すべき理想を表しているからだ。僕らは彼らのことを尊敬し、彼らみたいになりたいと願う。彼らは、意思があり、人々に感動を与える、象徴的な存在なんだよ」。アメコミ映画黄金期のいま、DCコミックスが描き出す希望の物語が、私たちに多くの感動をもたらしてくれることを期待したい。

最終更新:9月16日(金)14時13分

cinemacafe.net

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。