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日経平均、一時1万7000円台回復 株式相場は「円安」頼みなのか

ZUU online 9/10(土) 12:10配信

3カ月ぶりに日経平均が1万7000円台を回復した東京株式市場。それを後押ししたのは米利上げを見越した円安だった。相変わらず、環境面では円安頼みの状況が続いている。ところが、利上げ観測が後退し為替相場が円高に振れても、相場は急反落することなく、小幅安にとどまり粘りを見せた。果たして、今の株式市場は円安頼みなのか。

■収益に及ぼす円高の影響は以前より軽微に

円安であることが株式市場にとってプラスであるのは間違いない。リーマンショック以降の株式市場は、トレンド分析をするとドル円相場と相関関係を示し、円高時には株価は下落、円安時に株価が上昇を繰り返してきた。2012年12月以降のアベノミクス相場が円安を支えにしてきたことも疑いようのない事実である。

円安は輸出型企業の業績を上向かせ、それが全体のEPS(一株当たり利益)上昇につながり、株価を上昇させるというのが一般的な見方だ。足元の業績は言うに及ばず、人口が減少する日本において、内需頼みでは将来的に企業の成長が難しいとみられるため、円安によって輸出環境が良くなることは好ましい。ゆえに「円安=買い」が定石のようになった。

しかし1985年のプラザ合意で急速に円高が進んで不況になった時代と、現在では様相が異なる。企業は為替予約で円高の影響を軽微にする努力をしているのは当たり前。しかも、現地生産が進んだことで、かつてのように、為替動向で業績が激変することはない。予約が追いつかないなど、円が短期間で5円、10円と急激に変動した場合は、その限りではないものの、緩やかな円高に関しては、目くじらを立てるほどの悪材料ではないのである。円高は、内需型企業に原材料費軽減のメリットが生じることで、むしろ「中立」に近い材料とみることも可能だろう。

間違いなく円安は株の好材料。アベノミクス相場では、その変動率が大きかったために、株価も一気に駆け上がった。今後はプラス材料になるとしても、実質的に重要度は高くなくなるかもしれない。

■「円高メリット」──材料として復活?

その昔、バブル相場の頃、株価が上がる要因として「トリプルメリット」という言葉があり、今は完全に“死語”となりながら、当時はそれが“金科玉条”のようでもあった。トリプルメリットとは「円高」、「金利低下」、「原油安」。現在は、先の日銀政策決定会合では失望感を生じさせたものの、日銀の姿勢は緩和から変わっておらず、そこからくるジャブジャブの資金が株価を支えるとの期待に結びついている。

「原油安」も、一時期よりは戻したとは言え、高いガソリン代に悩まないでも済むレベル。輸入に頼る日本の経済にとって、プラスに作用しているのは間違いない。

もう一つの「円高」、プラザ合意の後、円高不況に苦しんでいたのが、短期間で株式市場は「円高」を“メリット”としてとらえるようになったのである。実は、当面の相場を語る上で、この点がヒントになるかもしれないのだ。

円安を買いの材料として求める現在の株式市場において、円高のメリットが語られることは少ないのだが、為替相場が円高に振れれば、原油をはじめ多くの原料を海外から輸入している企業はコスト低下につながる。そして、この視点とリンクさせて考えたい材料が出現した。そう、政府が明らかにした約28兆円に上る大型の経済対策である。これが国内景気を刺激するのは言うまでもない。

一時的にでもこの施策によって、輸出主導ではなく、内需主導で国内経済がけん引されるのであれば──ここで為替相場を考えれば、「円高メリット」という言葉が“息を吹き返す”余地が広がるとみていいのではないだろうか。

その結果、予想されるのは、株式市場では心理面では「円安頼み」が残りつつも、実質的には「円高メリット」も評価されつつある点だ。株式市場が内需株主導の相場になった場合、為替相場に対して発想の転換が起きる可能性がある。急速に円高に振れる場面となっても、株価が粘りを示すようになったのは、それを感じているからかもしれない。

■チャートは下げ相場にピリオド

最後に、日経平均のチャートをみてみよう。正直、値幅を取ろうという向きにとって、中期トレンドは横ばいの面白みに欠けるチャートだ。

しかし、横ばいの相場を続けるうちに、昨年夏以降、右肩下がりだった上値抵抗線をブレークする格好となっている。テクニカル的にみると、下げ相場にピリオドを打ったと言っていい。

今の相場は、日銀がETFを購入して支えてられている官製相場との見方もある。ある意味、それは事実だろう。しかし、本当に五月雨的に売りが出る時は、支え切れるものではない。今後も、株価の円高に対する感応度が鈍れば、内需株主導の上昇相場のシナリオが描けるようになりそうだ。(ZUU online 編集部)

最終更新:9/10(土) 12:10

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