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未来技術遺産に認定 「酵素パワーのトップ」の何が凄い?

日刊ゲンダイDIGITAL 9月10日(土)9時26分配信

「酵素パワーのトップ!」といえば、みんなが知っている洗剤。その「トップ」が国立科学博物館の「未来技術遺産」に選ばれた。日本の文化や生活に影響を与え、未来に引き継がれる技術に与えられるもので、過去にフジカラー「写ルンです」やソニー「ウォークマン」などが選ばれている。日常的に使っている洗剤がウォークマンなどと同じような画期的な商品に認定されるとはビックリだ。

 トップはライオン油脂(現・ライオン)が1979年に発売。「酵素パワー」という言葉が耳にこびりついている人もいるはずだが、実は歴史的にも意義ある商品だったらしい。

 国立科学博物館によると、戦後の洗剤は汚れを包んで水と一緒に落とす界面活性剤にリン酸化合物を混ぜていた。リン酸によって汚れ落とし効果が増したからだ。同館産業技術史資料情報センター副センター長の亀井修氏が言う。

「ところがリン酸が海や湖沼に流れてプランクトンが異常発生するようになったのです。そのためリン酸が使えなくなった。その結果、汚れが落ちにくくなり、『もっときれいになる洗剤が欲しい』との要望が高まったのです。そこに登場したのがトップでした。リン酸使用の洗剤と同じくらい汚れを落とせるようになったのです」

 酵素は食べ物の消化を助ける重要な物質。洗剤の性能を高めることは知られていたが、その方法が見つからなかった。ライオンはこう説明する。

「界面活性剤を改良して酵素がきちんと作用できるよう工夫したのです。同時に人体への安全性を確認しました。発売の翌年はトップだけで売り上げ300億円を達成しています」(コーポレートコミュニケーションセンター)

 従来品に比べて価格は上がったが、他社も次々に酵素を配合した洗剤を発売。日本社会に浸透していった。トップが開発されていなければ、日本の洗剤は汚れ落ちが悪いままだったかもしれない。

「公害問題が叫ばれていた70年代に、日本人のエコ意識を高めたという意味でも画期的でした。高い商品でも買うようになった。トップは洗剤開発の大変革者だったです」(亀井修氏)

 ヒット商品の裏には知られざるドラマがあるのだ。

最終更新:9月10日(土)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL