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焼酎業界首位 「霧島酒造」の戦略にビジネスのヒントあり

日刊ゲンダイDIGITAL 9月10日(土)9時26分配信

 焼酎メーカーの2015年の売上高ランキングで、芋焼酎「黒霧島」の霧島酒造が4年連続1位を達成した。「いいちこ」「二階堂」「さつま白波」など、焼酎全体が落ち込む中で売り上げを伸ばし続ける霧島酒造。ビジネスに活用できそうなヒントを探った。

 今年、創業100年を迎えた霧島酒造は、1990年代後半まで、マイナーな焼酎メーカーのひとつに過ぎなかった。ところが、96年に3代目社長が就任すると同時に大きな転機を迎える。98年に発売した新製品「黒霧島」に、すべての経営資源を投入したのだ。一見、イチかバチかに見えるが、正しい経営戦略だという。

 ビジネス評論家の山田修氏が言う。

「いわゆる弱者が強者に勝つために経営資源を集中させる戦略です。一点突破、全面展開のランチェスター法則とも呼ばれます。この手法はサラリーマンにも極めて有効です。ポイントは会社の同僚との出世競争やライバル他社に勝つため、何か一点に時間と金をかけ、徹底的にスキルを磨き、差別化を図ること。極めるのは、語学でも会計でも何でもいい。座学でなくても構いません。営業マンならオタクばりに扱う商品の知識を蓄えてもいいし、営業地域をシラミ潰しに歩き回るのでもいいでしょう」

■身の丈に合ったアプローチ

 宮崎県に本社を置く霧島酒造は、福岡県を“戦略地域”と位置づけて01年に進出。販売量を3年で倍増させた。するとイケイケ路線から一転、慎重路線に転じる。マーケットの大きい首都圏や関西を後回しにし、福岡と同サイズの広島や仙台をコツコツ攻め続けた。点をつくり続け、それが徐々に面となり、最後に残ったのが東京だが、攻め落とすのに長い時間は要さなかった。03年当時、黒霧島の東京での販売シェアは1%余だったが、12年、東京どころか全国の焼酎業界でトップの座に躍り出る。

「先ほど差別化の重要性を説きました。ただ、“徹底的に”と言っても背伸びをしすぎず、身の丈に合った方法でアプローチしていくことが大切です。英語力を磨くとしても、長らく英語から遠ざかっていた人が、いきなりTOEIC900点以上を狙うのは現実的ではない。まずは英検2級レベルで十分。ひとつ目標をクリアしたら次のスキル、また別のスキルに移行させていく。10年くらいかけて、3つほど身につけると強力な武器となり、その後のサラリーマン人生がスムーズに運ぶはずです。職場で働き続けても出世・昇給が望めるでしょうし、より大きなリターンを求めて転職してもうまくいくでしょう」(山田修氏)

 クロキリ戦略はサラリーマンはもちろん、経営者も手本になりそうだ。

最終更新:9月10日(土)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL