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「暴挙だ」被爆地抗議 北朝鮮核実験 有事態勢づくり警戒も

長崎新聞 9月10日(土)9時10分配信

 北朝鮮が9日、5度目の核実験を強行した。5月にオバマ米大統領が現職で初めて被爆地広島を訪問し、「核なき世界」への期待感が強まる中、もうひとつの被爆地長崎からは「暴挙だ」と怒りが噴出した。一方、緊張が高まることで日本政府が有事の態勢づくりを進めるのではないかとの懸念の声も聞かれた。

 長崎市の平和公園ではこの日、毎月実施している「反核9の日座り込み」があり、被爆者ら約100人が抗議の声を上げた。県平和運動センター被爆連の川野浩一議長(76)は「核廃絶を目指す私たちの努力を無視する暴挙だ」と憤った。被爆者の田中安次郎さん(74)は「核の威力で外交をしようとするのは間違い。核兵器の恐ろしさを分かっていない」と非難した。

 被爆体験者訴訟の第1陣原告団の岩永千代子団長(80)は「日本政府も核抑止力に頼っている」と批判した上で「政府が北朝鮮への恐怖心をあおり、安全保障政策を進めないかが気掛かり。戦争に向かうことがあってはならない」と冷静に受け止めた。被爆者の森重子さん(80)も「国同士が争うのではなく、6カ国協議を再開するなど話し合いで問題を解決する方法を考えるべきだ」と訴えた。

 また8月にスイス・ジュネーブの国連欧州本部に核廃絶を求める署名を届けた高校生平和大使、安野伊万里さん(16)=県立長崎東高2年=は電話取材に応じ「自分たちの活動が否定されている気持ちになる」と悔しさをにじませた。

 長崎市の田上富久市長は「被爆地の思いを踏みにじった。強い憤りを覚える」と批判。同市のほか、県、佐世保、諫早両市、西彼長与、時津両町が北朝鮮に抗議文を送った。

 米軍や自衛隊の基地を抱える佐世保、大村、対馬各市でも不安の声が聞かれた。佐世保市大塔町の会社員、土井みどりさん(55)は「核実験前に話し合いができないのか。基地が狙われないか心配だ」。大村市池田2丁目の団体職員、橋口喜親さん(52)は「日本政府は周辺国と協力し、現実的な対応をする時期に入っているのではないか」と注文。朝鮮半島に近い対馬市の漁業、梅野萬寿男さん(57)は、相次ぐ弾道ミサイル発射にもいら立ちをみせ「強さを誇示する振る舞いが幼稚だ」と批判した。

 防衛省の統合幕僚監部報道官によると、海上自衛隊佐世保地方総監部や陸上自衛隊相浦駐屯地で「今のところ動きはない」という。米海軍佐世保基地も「通常の任務を続けている」としている。

長崎新聞社

最終更新:9月10日(土)9時10分

長崎新聞