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社説[北朝鮮核実験]暴走止める新たな策を

沖縄タイムス 9/10(土) 9:05配信

 北朝鮮が9日、5回目となる核実験を強行した。

 「水爆」と主張した1月の実験からわずか8カ月、弾道ミサイル発射を繰り返す中での重大な挑発行為だ。

 過去の実験で、核ミサイルが完成に近づいているとすれば、極めて危険な段階に入ったことになる。

 国際社会の緊張を高める暴挙に強く抗議する。

 10年前に始まった北朝鮮の核実験は、これまで3~4年間隔で実施されてきたが、今回は異例の短さだ。

 北朝鮮の建国記念日にあたる9日に合わせたのは、国威発揚の意図があってのことだろう。

 5月に36年ぶりに開催された労働党大会で「責任ある核保有国」を宣言した金(キム)正恩(ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の求心力を高める狙いも読み取れる。

 最近の駐英公使の亡命や国内で続く高官の処刑などから、国民の目をそらしたい考えも透ける。

 他方、外に向けては、3月の国連安全保障理事会決議、8月の米韓合同軍事演習、直前の東アジアサミットなど国際社会の対北朝鮮包囲網への反発をむき出しにしている。

 今回注目すべきは、北朝鮮がミサイルに搭載できる核弾頭の爆発実験に初めて「成功した」と発表していることだ。

 韓国国防省当局者は、爆発規模を過去最大級の10キロトンと推定する。

 北朝鮮の核技術が、新たなステージに上がったのは確かである。

 過小評価せず、実験の分析を急いでもらいたい。

■ ■

 北朝鮮は1985年に核兵器を製造しないことなどを約束する核拡散防止条約(NPT)に加入。米国と核問題解消の枠組みに合意するものの、ウラン濃縮計画が発覚し、2003年にNPT脱退を表明した。

 06年、09年、13年、今年1月と核実験を強行するたびに安保理は制裁決議を採択。1月の核実験と2月の事実上の長距離弾道ミサイル発射を受けての制裁決議は「過去20年以上で最も強力」なものだった。

 しかし取り組みはことごとく失敗。北朝鮮の核放棄を確認した6カ国協議も途絶えて久しい。

 5回目の核実験を受けて、安倍晋三首相はオバマ米大統領と電話会談し、新たな制裁が必要との認識で一致した。

 より厳しいメッセージを発信するのは当然にしても、制裁決議の効果についての検証が必要だ。

■ ■

 北朝鮮が核武装によって国を守るという考えを変えない限り、暴走を止めることは困難である。

 これまでの繰り返しではらちが明かない。

 核実験を繰り返す狙いを正確に把握した上で、共同歩調で対応していくことが求められる。

 米国、中国、韓国、日本など関係国が危機感を共有し、共通認識に基づく新たなアプローチが重要だ。

 特に北朝鮮に影響力を持つ中国には、安保理常任理事国としての役割をきちんと果たしてもらいたい。

最終更新:9/10(土) 9:05

沖縄タイムス