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平成の百工比照を映像化 金沢美大、制作工程を4Kで

北國新聞社 9月10日(土)3時10分配信

 金沢美大は、工芸の材料や道具、見本などを全国から収集する「平成の百工(ひゃっこう)比(ひ)照(しょう)」事業として、制作工程の映像化に乗り出した。完成作品だけでは分からない技法を高画質の4K映像で記録し、技術継承に役立てる。漆工の蒔絵(まきえ)技術を皮切りに陶磁器や染織分野でも進める。映像は教育・研究に利用するほか、短縮版を一般に公開し、工芸都市金沢の高度な技を広く伝える。

 金沢美大は加賀藩5代藩主前田綱紀が集めた工芸標本「百工比照」にならい、2009年度から現代版の百工比照の作成に取り組んでいる。今年度からは集めた資料のデジタル保存に着手しており、制作工程の映像化はその一環となる。

 蒔絵については「肉合(ししあい)研(とぎ)出(だし)蒔絵」の工程を記録する。肉合研出蒔絵は文様をレリーフのように盛り上げる「高(たか)蒔絵」と、表面を平らで滑らかに仕上げる「研出蒔絵」を併用する技で、蒔絵で最も高度な手法とされている。

 道具を用意したり、漆を練ったりなどの準備段階も収録し、仮に技法が途絶えたとしても、映像から復元できる内容とする。蒔絵師による作業の撮影はすでに終了し、今後の編集やナレーション収録は美大の教員が監修する。

 全工程を収めた映像は学生の教育や研究に活用する。併せて5分程度にまとめた短縮版を作成し、展覧会用の貸し出しや美大ホームページでの発信を検討する。陶磁器や染織に関しては、来年度以降の映像化を予定する。

 美大の担当者は「精巧な技術を後世に残すため、質の高い資料を目指したい」と話している。

北國新聞社

最終更新:9月10日(土)3時10分

北國新聞社