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若者がよく使う「一周回って…」に込められた本心とは?

日刊ゲンダイDIGITAL 9月11日(日)9時26分配信

 近ごろの若者は、「一周回って~」という言い回しをよく使う。「一周回ってかっこいいよね」と言われたオジさんは、「陸上選手の話題か」と首をひねってしまうかもしれない。

 そこで、「一周回って~」の使い方だ。たとえば、ケミカルジーンズの流行を知っている人には「今さらダサい」「時代遅れ」だろうが、知らない若者には「斬新でおしゃれ」に見えたりする。要はリバイバルで、音楽や芸能では、「ムード歌謡って一周回ってオシャレだよね」とか「ダンディ坂野って一周回って面白いよね」という使い方になる。

 テレビ番組のタイトルにもなっている。7日スタートの「1周回って知らない話」(日本テレビ系)は、高畑裕太容疑者の出演部分がモザイク処理されて話題になったが、このタイトルも、リバイバルの意味が込められている。広報担当者は「年齢が上の人には当たり前でも、若い人には知らないことがある。そういうことを掘り起こすことで、新しい発見があるのではないか。温故知新が番組のテーマ」と話す。

 別の使い方もある。ゲス不倫騒動で「誰に謝罪すればいいの?」と開き直ったミュージシャンに対しては、ネット上で「一周回って素晴らしい」などの書き込みが相次いだ。「むしろ逆に」といった意味だが、一周回ったら同じだろう。

 おそらくルーツはオタク用語。好きなアイドルやアニメ作品に対して、「一周回ってイイよね」などと使われてきた。「いろいろ見てきたけど、改めて評価する」といったニュアンスで、自分は“にわかファン”ではないことを暗にアピールしているのだ。

 どれもこれも、素直に“イイ”と認めればいいものを、どうして回りくどく言うのか。

「何事も曖昧にして波風を立てたがらない、今の若者らしい言葉づかい」と評するのは、若者言葉や俗語に詳しい梅花女子大学の米川明彦教授。

「このような表現は、好きなものを聞かれて“~とか?”とボカすのと同じ。批判された時に“本当はそうじゃないけど”とかわすのが狙いです。要は逃げ道」

 人間関係における防衛手段か。一周回って賢いかも。

最終更新:9月11日(日)9時26分

日刊ゲンダイDIGITAL