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「自助」なお課題 県総合防災訓練、市職員の指示待つ姿も 掛川

@S[アットエス] by 静岡新聞 9月11日(日)13時0分配信

 掛川市を舞台に4日行われた県総合防災訓練。4月の熊本地震を教訓に、広域避難所運営や支援物資輸送などの手順を確認した。さまざまな具体的課題が浮き彫りになり、関係機関の連携確認など一定の成果があった一方、参加者からは、地域住民の自助の意識が必ずしも高いとは言えなかったとして「この様子だと熊本の二の舞いを演じることになってしまうのでは」などと案じる声も聞かれた。

 「何をしていいか分からない」―。広域避難所に指定された同市南部の市立大須賀中。米軍から続々と届く物資を中学生が手早く受け取る中、避難所運営訓練が行われた体育館では「指示待ち」の住民が、手持ち無沙汰な様子で過ごす姿も少なくなかった。

 同市では、市内42カ所の広域避難所ごとに運営マニュアルを作成し近年訓練を行っている。市は「自助の精神は比較的根付いている方だろう」として避難所運営を住民に任せたが、実際は「結局、市の人がほとんど仕切っていた」(参加者)のが実情。具体的な手順や流れを確認できた一方で、結果的には課題山積の現状を突き付けられた形でもあった。「住民の中では、誰かがやってくれるだろうという意識は根強い」と市危機管理課。

 市は、地区避難所ごとにリーダーが住民のニーズを把握し、いったん広域避難所の市災害対策支部に集約し、そこから本部に情報を上げる仕組みを採る。地区避難所から広域避難所の災対支部に一定時間連絡や要望がない場合、支部の係員が様子を聞きに行く決まりになっているという。

 今回の訓練では、関係機関が連係しての物資輸送を重点の一つとした。市は「大規模な訓練を通し、大まかな流れがつかめた意義は大きかった」と受け止める。一方で「避難所の住民が、物資が届くのを待つ姿勢になってしまった」と話す参加者もいて、浦野正守課長(55)は「今後、モデル地区を作り、住民が足りない物資を自ら取りに行くような訓練が必要かもしれない」と明かす。

 全国でボランティア活動を行っている市民団体ふっこう支援掛川の斎藤一統括(57)は「被災したから動けないのではなく、動ける被災者が主体的に動いて復興を目指すシステムが必要。もっと民間の力も取り入れていくべきだ」と提案する。

 県ボランティア協会の清水慈子さんは「災害対応はケース・バイ・ケース。住民だけでも行政だけでも災害を乗り切ることはできずボランティアにも限界がある」と指摘した上で「住民や行政、ボランティアなどの枠にとらわれず企業なども巻き込んで、あるものは全て使うという考え方が大切」と強調した。



 ■県危機管理部手応え「意味ある訓練」

 4日の県総合防災訓練について、県危機管理部からは「意味のある訓練だった」などの手応えが聞かれた。

 岸谷清満危機調整監は「掛川市内の42広域避難所全てで訓練を行ったこと自体が非常に画期的。だからこそ多く課題が出てきた。悪いことではない」と前向きに受け止めた。

 危機対策課の藤田和久課長は「避難所運営訓練を通し、マニュアルに書いてある意味の理解も進んだはず」と述べ「地区ごとに意識の差はあるかもしれないが、一部の地域だけが先鋭的にならず、市全体でレベルアップしてほしい」と求めた。

静岡新聞社

最終更新:9月11日(日)13時0分

@S[アットエス] by 静岡新聞