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【広島】達川さんが解説する“カープの流儀”

スポーツ報知 9月11日(日)6時7分配信

◆巨人4―6広島(10日・東京ドーム)

 選手補強やチーム運営で独自のスタイルを貫く広島は近年、毎年のように続いた主力の流出を、次代選手育成で補うことに注力した。1999年から2年間、監督を務めた達川光男さん(61)がこの“カープの流儀”を解説。また松田元オーナー(65)が、ぶれないポリシーを語った。

【写真】胴上げされて涙を流す黒田

 カープには昔から「選手は育てるもの」という不動のポリシーがある。FA宣言した選手に理解があり、無用な引き留めをしない。そのために戦力は落ちるが、「自前の選手を育てればいい」というのが、球団の変わらない考え方だ。

 私も監督だった99年オフに、4番の江藤が巨人にFA移籍したが、それは仕方のないことと受け止めた。歴代の監督で、だれもそれを言い訳にはしない。江藤の後は新井が出てきた。その後、新井も黒田もFA宣言して出て行ったが、球団は彼らが「戻りたい」と言えば、何のわだかまりもなく受け入れた。寛大で、懐が深く、器が大きい。だから、選手には球団に対して恩返しの気持ちが芽生える。

 選手を育てるために、必要なのは練習。猛練習はカープの伝統だ。今年、若手が急成長したのも、石井琢、東出両打撃コーチが彼らに激しい練習を課し、バットを振らせたからだ。鈴木誠也は寮長から「消灯時間が過ぎている。やめてくれんか」と言われるまでバットを振ったという。

 さらに、頭角を現した若手の手本になったこの2人を抜きにして、カープの優勝は語れない。緒方監督を胴上げする輪の中で、黒田と新井が涙を流しているのを見た。その瞬間、私の頭に7か月前のあのシーンがよみがえってきた。

 沖縄キャンプ打ち上げの手締めの時だ。輪の中心にいる緒方監督の両隣に、黒田と新井が立っていた。マスコミ用の撮影なら、通常は監督の横には若い選手が立つことが多いのだが、何ごともないように2人のベテランがいた。それを見た時「今年のカープは大丈夫!」と確信した。

 思った通り、新井はプレーで若手を引っ張り、黒田はメンタル面で若手の参考書になった。視野を広げるためにプレートの一塁側を踏んで投げる黒田を野村がまねた。初球から打ってくる打者に対して、日本では「ボールから入って様子を見ろ」と教えるが、黒田は違った。「初球から打ってくる打者だったら、初球を打たせればいい。1球で終わる」と考えた。メジャー流プラス思考が投手陣に浸透した。野球選手は一度手にした技術は簡単になくさない。しばらくはカープの時代が続くだろう。(99~00年広島監督、プロ野球評論家)

最終更新:9月11日(日)9時59分

スポーツ報知

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