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稀勢の里、綱の重圧でいきなり黒星!

スポーツ報知 9月12日(月)6時7分配信

◆大相撲秋場所初日 ○隠岐の海(寄り切り)稀勢の里●(11日・両国国技館)

 3場所連続で横綱昇進に挑む東大関・稀勢の里(30)=田子ノ浦=が、いきなり綱取り消滅の危機に追い込まれた。東前頭筆頭・隠岐の海(31)=八角=に寄り切られ痛恨の初日黒星。国技館で観戦した横綱審議委員会の守屋秀繁委員長(75)は期待する大関のふがいない相撲に「(横綱は)振りだしに戻るかも」と失望した。3場所連続での綱取りは過去3例とも成就せず。稀勢の里が“呪い”のようなジンクスにものみ込まれて正念場を迎えた。

 じっと目を閉じたまま、無言を貫いた。支度部屋に戻った稀勢の里。こみ上げる悔しさに、真一文字に結ばれた口からは「シューッ」という息だけが漏れた。報道陣から「残り14日、力を出し切るだけか」と聞かれても、3度小さくうなずくだけだった。

 立ち合い。隠岐の海のもろ差しに冷静さを失った。強引に両腕を抱え込んだが懐に入る相手に押し切られ、最後は左足から力なく土俵を割った。土俵下で“惨敗”を見届けた守屋委員長はバッサリと切り捨てた。「稽古総見での出来具合から何となく今日の姿を想像できた。2勝10敗でしたよね。どこか悪いのかな。人間はそんなに長く緊張感を持ち続けられない」。横綱・日馬富士への8連敗を含めた、2日の横綱審議委員会の稽古総見での予感が的中したことを嘆き「もしかしたら(綱取りは)今場所で振りだしに戻るかもしれない。私のところまで(昇進の諮問は)来ないかもしれない」と不吉な言葉まで口にした。実際それを裏付けるデータもある。

 1986年名古屋場所後に昇進した双羽黒が優勝なしで綱をつかみ、不本意な形で土俵を去った反省から横綱昇進の基準は厳格化。3場所連続での綱取りは以後3例あるが、全て3場所目で振りだしに戻っている。その屈辱を2度味わった伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は当時を振り返り「例えば毎日200回の四股を踏んでいたなら、次は300。それでもダメなら500とやっていた。先場所と一緒じゃダメ」とハードルの高さを証言した。

 第一人者の横綱・白鵬(31)=宮城野=は休場。さらに1横綱、2大関が初日に敗れた。昇進に必要な優勝を争うライバルも共倒れし「この場所は粘り強く最後まで行けばチャンスは出てくる」と八角理事長(元横綱・北勝海)はエールを送った。だが稀勢の里は11年九州場所後の大関昇進以降、初日黒星の4場所では9勝が最高。いきなりのつまずきは、ここ3場所積み上げてきたもの全てを台なしにしてしまいそうな気配が漂っている。(秦 雄太郎)

 ◆初日黒星で横綱昇進 年6場所制となった1958年以後、誕生した横綱27人のうち、昇進したのは4例。61年秋場所後の柏戸(12勝3敗、優勝同点)、64年初場所後の栃ノ海(13勝2敗、優勝から2差)、79年名古屋場所後の三重ノ海(14勝1敗、優勝同点)、81年名古屋場所後の千代の富士(14勝1敗、優勝)が昇進している。

最終更新:9月12日(月)18時44分

スポーツ報知