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【BARKS編集部レビュー】Noble Audio Katana Universal、K10との違いは?

BARKS 9/15(木) 11:15配信

カスタムIEMとして発表され、迷わずオーダーして初めてNoble Audio Kaiser10(以降K10)を耳にしてから、かれこれ3年近くの年月が経つ。その後K10ユニバーサル・モデルも発表され、2015年末にはアルミ筐体へと大きなリニューアルを果たし、世界中でそのファンを増やしてきた。私の評価も3年前から全く変わることなく、その奇跡のサウンドは今もなお色褪せることがない。

◆Noble Audio Katana Universal画像

ただ一方で、飛び抜けた存在には往々にして風当たりも強くなる。人気があればあるほど実力があればあるほど、いじられ分析され槍玉に上がるのが世の常というものだ。起きては消えるを繰り返したK10やSavantに対するネガティブバッシングの歴史が、逆説的にそれらの完成度の高さを際立たせてきたとも言える。

2016年7月16日<ポタフェス2016>会場にて発表され、8月より発売がスタートとなったK10の次を担う新フラッグシップKatanaサウンドを聴くと、「K10のサウンドを上回るサウンドの開発」という非常にタフなテーマもさることながら、「ドライバーの数が品質を表すのではない」ことを身を持って証明することに、大きな意義とある種の使命感を持っていたのではないかとすら思わせる。その志は、すでにSavantで証明/達成していたのではあるのだけれど。

Katanaのスペックは9ドライバーである。つまり10ドライバーを積むK10よりもドライバーの数は少ないが、それでもK10の上位モデルとしてKatanaは登場してきた。エンジンの排気量のみが自動車の性能を表すのではないように、あくまで物理的な構成パーツの数であるドライバー数は、サウンドの善し悪しを語るものではない。いずれのメーカーでも、最多ドライバーの最上位機種のサウンドが素晴らしいのは、フラッグシップとして妥協なき開発が行われたモデルだからであって、多ドラだからいい音なのではないということだ。

Katanaは、そのドライバー製作をKnowlesに特別依頼しており、Katanaのためだけに設計/製造された専用ドライバーを搭載している。K10と比較しドライバーの数が少なくなっても価格が上がってしまうのはそのためだが、これによって、ネットワークやハウジング設計が解析されたところでそのサウンドをコピーすることはできなくなる。ドライバーそのものが入手できないからだ。K10がKnowlesの汎用ドライバーを用いていた点からの大きな変化が、ここにある。ちなみにKatanaのネットワークは4ウェイだ。

シャープ、硬質、キレの良さ、スピード感…Katanaのサウンドを語るにはいろんな表現方法がありそうだが、自分として最もピンとくるのは“明瞭度のアップ”だ。濃密さやバランスの良さ、完璧なトーンはK10譲りの素性で、このあたりの完成度はパーフェクトなままである。K10の良さを失うことなく、さらにピュアネスを磨き上げ、全帯域のどこにもストレスや障害を持たせないように磨き上げると、クリアネスの向上だけに焦点が当たってくる気がする。ルーペを覗きこむかのように精度を上げ、普通では気付けないような小数点以下の微細なチューニングを重ねた結果、不純物ゼロのKatanaサウンドが浮かび上がるのではないか。まさにハイファイサウンド、K10よりも厚みが減り耳への収まりもよくなったコンパクトなKatanaだが、そのサウンドの存在感は巨大である。

ノーブルファミリーで言えば、Savantの正統進化の系譜にKatanaが存在するようにも思える。そういえば、ほとんどのノーブルモデルはウィザードことジョン・モールトンによる設計だけど、K10に関してのみ、その名が冠されたカイザー・ソゼ氏との共同開発だったことを考えると、混じりっけのないウィザード・サウンドのトップ・オブ・トップはKatanaなのかもしれない。

K10とKatana、どちらがいいか?というのは、もう佐々木希と桐谷美玲を比べるようなもので、どちらも突き抜けた美人であるとしか言いようが無い。ということで、本当に素晴らしいイヤホンを2本使いまわすとどういう現象が起こるか? そう、延々とループに入るのである。K10を聴きこんだ状態でKatanaをきくと「うお、シャープでカッコいいサウンドだなあ。超絶イケメンサウンドだ」と一瞬でKatanaに惚れてしまう。そのままKatanaを聴きこんだ状態で、今度はK10に変えると「なんと艷やかでなめらかな上品なトーンなんだ。ゴージャスで素晴らしい」と、これまた一瞬で恋に落ちる。好みといえばそれまでだが、どちらを買っても後悔はしないだろうし、どちらもお互いをおとしめることをしない。K10オーナーはKatanaサウンドを素晴らしいと感じるであろうし、Katanaを購入した人であれば、いずれK10も手にしたい欲求にかられることだろう。マイバッハとランボルギーニを自由に乗り換えるようなものだ。

私は、KatanaのカスタムIEM版をオーダーするので、完成した暁にはカスタムIEMでのレビューも行いたいと思う。未だイヤホン・サウンドのトップ・オブ・トップは、Noble Audioがその座を守っていることを突きつけられた気分だ。

text by BARKS編集長 烏丸哲也

●Noble Audio Katana Universal
オープンプライス(税込販売価格¥226,800)
・片側に独自モデルの9バランスド・アーマチュア・ドライバー搭載
・精密なマシンニングカットにより一新されたジオメトリー・アルミニウム・ハウジング
・スマートフォンやDAP単体での使用にも最適な高感度
・フルハンドメイドによるアセンブリングとマッチング
・業界標準2-pin規格0.78mm採用

最終更新:9/15(木) 11:16

BARKS

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