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【速レポ】<中津川フェス>八代亜紀、「昨日は演歌のコンサートだったの」

BARKS 9月12日(月)12時15分配信

2日目、間もなく時刻は17時。フェスがフィナーレへと向かっていく頃合いだ。今年の夏は、<FUJI ROCK FESTIVAL>や<RISING SUN ROCK FESTIVAL>といった大型野外フェスへの出演で話題を呼んでいる八代亜紀の登場もまた、<THE SOLAR BUDOKAN 2016>のクライマックスのひとつとなった。

◆八代亜紀 画像

開演間近になると、RESPECT STAGEへ続く道は人でみっちり。芝生はみるみるうちに埋まっていき、ステージの間際では、若者とご年配が混ざって始まりを待っている。ちょっと異様とも言える期待感が漂う。いよいよバンドの演奏に招き入れられた八代は、拍をとり、ハミングしながら現れた。身体を揺らすたびにマーメイド型の水色のドレスのそでやすそが揺れ、スパンコールはきらめき、なんともゴージャス。

「オーラ半端ないな」「出てきただけなのにすごい」といった素直な感想があちこちから聞こえてくる。だがもちろん、歌う姿はもっとすごかった。

スタンダードなブルースナンバー「St.Louis Blues」、ボブ・ディランやアニマルズも歌ったフォークナンバー「The House of the Rising sun」と、名曲を立て続けに披露。そのスモーキーな歌声と、ジャジーなバンド・サウンドの掛け合いは非常にクールで、とにかく聴かせてくれる。“ヘーイ!”と叫び、客側にマイクを向けレスポンスを求めるなど、本人もノリノリだ。このあとのMCで、“昨日は演歌のコンサートだったの”と話したように、八代亜紀の本来の主戦場は演歌~歌謡にあると言えるだろうが、こういったロックフェスにおいてこれほどイチ歌い手としての輝きや度量を見せられると、音楽ジャンルなどという囲いはこの人には不要なものだと感じた。

“歌心”“情感”というものをさらに雄弁に表現したのが、「フランチェスカの鐘」「夢は夜ひらく」という昭和のブルース歌謡だろう。特に「夢は夜ひらく」のイントロ部分は、ギターと八代の歌唱のみによる、まさに迫り来るような迫力。そしてそこから一転、原曲からグッとテンポアップさせ、ジャズにある狂騒を色濃く浮き立たたせたバンドアンサンブルとの絡みも、もう最高にエキサイティングだ。それもそのはず、2015年にリリースされた八代のブルースアルバム『哀歌-aiuta-』のツアーバンドである伊東ミキオ(Key)、藤井一彦(G)、中條 卓(B)、サンコンJr.(Dr)、梅津和時(Sax)というメンバーだけあって、バンドとの呼吸もピッタリである。

次曲、オリジナルのブルースナンバーである「命のブルース」では、楽曲を提供した中村中も演奏に参加した。非常に渋い──もっとはっきり言うと、まったく救いのない身の上を歌った物凄く暗いこの曲を、ふたりは時に深くうなずき合いながら全身全霊で表現したのだが、大サビのふたりのハーモニーに至っては説得力のかたまりのようで、なんと言うか、おそろしいほど。ブルースは魂の音楽だということを痛感させられ、あっけにとられていると、中村は熱演を果たした興奮そのままに、「日本一のブルースシンガー、八代亜紀!」と称えステージをあとにした。

実は、今回の八代亜紀のライブでは、小さな奇跡も起こった。“みんなでコレ(あの有名な振りをして)やる?”と、楽しげに問いかけた「雨の慕情」の時である。カッティングギターが小気味いいアレンジによって、思いがけず身体が気持ちよくスイングしたこの曲であったが、この演奏ののちに、突然小雨がパラついたのだ。ただの偶然だろうが、まるで必然の出来事のようにも思わせたのは、八代亜紀のステージがいかに我々オーディエンスの心を掌握していたかを物語っていたと思う。

そしてラスト・ナンバーは、“こういう日は冷たいビールがいいよね。冷酒もいいよね。でも、ぬるめの燗がもっといいよね? と呼びかけ、今日一番の歓声が湧いた「舟唄」。大サビで、バンドの演奏がぴたりと止んだのち響き渡った入魂のアカペラには、会場が息を呑んでしまった。“ロックフェスに八代亜紀”という意外性が話題を呼んだのが本年度であっただろうが、一過性の現象にとどまらずに、ぜひ今後も中津川の地で、八代亜紀のステージを多くの人に観て欲しいと思った瞬間だった。

取材・文◎堺 涼子(BARKS)
撮影◎三浦麻旅子

【八代亜紀@RESPECT STAGEセットリスト】
01. St.Louis Blues
02. The House of the Rising sun
03. フランチェスカの鐘
04. 夢は夜ひらく
05. 命のブルース
06. 雨の慕情
07. Give You What You Want
08. Sweet Home Kumamoto
09. 舟唄

■<中津川 THE SOLAR BUDOKAN 2016>
Day1:2016年 9月10日(土)
Day2:2016年 9月11日(日)
会場:岐阜県中津川市 中津川公園内 特設ステージ
岐阜県中津川市茄子川1683-797
※雨天決行(荒天の場合は中止)

▼9月10日(土)出演者
シアターブルック、AFTER SCHOOL HANGOUT (林立夫&沼澤尚 with 鈴木茂, 森俊之, 沖山優司 featuring Leyona and 高橋幸宏)、チャットモンチー、DJダイノジ、怒髪天、H ZETTRIO、麗蘭、ましまろ、MONGOL800、NAMBA69、OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND、RIZE、SA、Spinna B-ILL、10-FEET、Dragon Ash、SCOOBIE DO、THE BLACK COMET CLUB BAND、cro-magnon、加藤登紀子、シシド・カフカ、中川敬 (ソウル・フラワー・ユニオン) 、オレスカバンド、NO GENERATION GAPS(うじきつよし・佐々木亮介)、Dachambo、DJ NOBU A.K.A. BOMBRUSH! with IO, DONY JOINT & YOUNG JUJU (KANDYTOWN / BCDMG)

▼キャンパーズParty“Village Of illusion”
LIVE:フォークソング部 (NAOKI[SA]+上原子友康 [怒髪天])、藤井一彦 (THE GROOVERS)、 Rei
DJ:SEIYA、DJ PAIPAI & SWEET RAVE、DJ 吉沢dynamite.jp
Midnight illusion:瀧澤賢太郎、DJ EMMA、KEN ISHI

▼9月11日(日)出演者
ACIDMAN、a flood of circle、赤い公園、THE COLLECTORS、ダイノジ(Talk&Live)、the HIATUS、インディーズ電力 大取締役会、Nothing’s Carved In Stone、THE King ALL STARS(加山雄三、佐藤タイジ、古市コータロー、名越由貴夫、ウエノコウジ、武藤昭平、山本健太)、八代亜紀、さかいゆう feat. 福原美穂 × 中津川 JAM (柴山哲郎、沼澤尚、中條卓、森俊之) 、the LOW-ATUS、ROVO、浜崎貴司 GACHI SOLAR SPECIAL(浜崎貴司、仲井戸“CHABO”麗市、佐藤竹善(Sing Like Talking)、PES(RIP SLYME)、山田将司(THE BACK HORN))、MANNISH BOYS、LIVE FOR NIPPON ~Pray For 熊本~ (高田漣.・東田トモヒロ・山口洋)、 片平里菜、真心ブラザーズ、ストレイテナー、チャラン・ポ・ランタン、BimBamBoom、Young Juvenile Youth、OZROSAURUS、ROTH BART BARON、TheSunPaulo、Yasei Collective、iCas(インディーズ電力 大取締役会)、LIFE IS GROOVE(KenKen、山岸竜之介、SATOKO、タブゾンビ)

最終更新:9月12日(月)12時15分

BARKS

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

斬首動画が何百万回も再生されてしまう理由
昔は街の広場で、現代はYouTubeで。歴史を通じ、公開処刑には必ず人だかりがつきものでした。人が処刑というものを、恐ろしく不快に感じながらも、つい気になって見てしまうのはなぜか。フランシス・ラーソンが人間と公開処刑の歴史、中でも斬首刑に焦点を当てて解説したこのトークは、気分の良い内容ばかりではありませんが、同時に興味をそそること間違いないでしょう。